進化し続ける株式会社荏原製作所の排ガス処理装置
株式会社荏原製作所は、100年以上の歴史を持つ機械メーカーで、排ガス処理装置やケミカルリサイクル技術に注力。環境保護と資源活用を実現し、世界中で活躍しています。また、サンレー冷熱、ミウラ化学装置、カンケンテクノなども高効率な排ガス処理技術を提供しています。
目次
株式会社荏原製作所とは
荏原製作所は、100年以上の歴史を持つ総合機械メーカーで、環境問題やインフラ整備などに積極的に取り組んでいます。多岐にわたる事業領域で革新を続け、持続可能な社会の実現に貢献しています。
◇沿革
荏原製作所の始まりは、1912年に畠山一清が創業した「ゐのくち式機械事務所」です。この事務所では、井口在屋博士が提唱した渦巻ポンプの理論を基に、日本初の国産ポンプを製造しました。1920年には株式会社荏原製作所に改組され、日本初のポンプ専門工場が建設され、国産技術の確立に寄与しました。
戦後、日本の復興期には、公共インフラの整備を推進し、農業用ポンプや浄水設備を全国に供給しました。高度経済成長期には、小型ポンプの量産化や欧米企業との技術提携を進め、国内外での事業基盤を強化しました。1980年代以降、半導体製造装置や廃棄物処理施設など、先端技術を活用した事業にも進出しました。
持続可能な社会の実現を目指し、現在も新たな技術と事業に挑戦し続けています。
◇主な事業内容
荏原製作所の基盤を支えるのは、創業当初から続くポンプ技術です。ポンプは水の供給や排水、産業用途など多様な分野で使用され、生活基盤の支えとなっています。特に、中東地域の海水淡水化プラントや都市部の排水処理施設向けに提供されるポンプは、同社の高い技術力を象徴しています。
風水力機械事業は、ポンプ、送風機、タービン、冷却装置など、広範な製品群で構成されています。この分野は売上の約6割を占めており、エネルギー分野やインフラ整備において重要な役割を果たしています。環境負荷を軽減しながら高効率を追求する技術開発が進められています。
荏原製作所はまた、半導体製造装置の分野でも重要な役割を担っています。これらの装置は、微細化・高密度化が進む半導体市場に対応するため、高度な製造技術を実現しています。この分野ではスピード感のある革新が求められ、同社の柔軟性と技術力が強みとなっています。
株式会社荏原製作所が誇る排ガス処理装置技術
荏原製作所は、その高度な技術力を活かし、環境改善に貢献する製品やサービスを多岐にわたって提供しています。特に、排ガス処理装置は同社の技術力を象徴する重要な製品群として注目されています。
◇「真空」と「排ガス処理」を両立
同社の排ガス処理装置は、EUV露光装置向けの真空排気システムを代表例として、真空環境と排ガス処理を高精度で両立させています。この技術は、半導体製造の高度化に伴い、非常に高い精度と効率が求められる分野で活用されています。ドライ真空ポンプと排ガス処理装置を一体化したシステムは、排気性能と省エネ性能を両立させ、エネルギー消費を削減しながら設置面積を最小化する設計が施されています。
これにより、半導体工場のスペース効率や環境負荷の軽減に大きく貢献しており、従来の排気システムに比べて省エネルギー効果が向上し、企業の持続可能性を支える要素として注目されています。
◇ケミカルリサイクルを実現
荏原製作所は、排ガス処理の枠を超え、ケミカルリサイクル分野でも革新的な技術を提供しています。排ガス中の成分を回収し再利用するシステムを構築し、「燃やすだけではないごみ処理」という理念を掲げています。特に廃プラスチックのガス化技術を用いて合成ガスを生成することに注力しており、この技術は二酸化炭素排出を抑制し、再利用可能な化学原料を生成します。
このプロセスはエネルギー効率が高く、資源の有効活用と環境負荷の低減を同時に達成しています。環境保護とリサイクルを進めるために重要な技術として、広く注目されています。
◇設置・移設が容易
荏原製作所の排ガス処理装置は、設置や移設の柔軟性の高さでも評価されています。コンパクトな設計により、狭いスペースでも導入可能であり、ユニット化された構造により、移設や再配置も容易です。これにより、様々な運用条件に柔軟に対応できます。
また、発生源の近くで排ガスを迅速に処理する設計は、工場の稼働効率を最大化するとともに、運用コストの削減にも寄与します。特に新設工場や改修プロジェクトでは、迅速な立ち上げが可能で、多くの企業にとって魅力的な点となっています。
株式会社荏原製作所の排ガス処理装置は海外でも活躍
近年、環境保全への意識が高まる中、産業排ガスや廃棄物処理施設からの排出物の抑制が重要な課題となっています。荏原製作所は、先進的な排ガス処理技術を駆使して、世界各地の厳しい環境基準を満たすソリューションを提供しています。特に同社が開発した高度排ガス処理付き焼却炉は、廃棄物処理と環境負荷軽減を両立させた革新的なシステムです。
◇高度排ガス処理付き焼却炉
荏原製作所が開発した高度排ガス処理付き焼却炉は、環境負荷の低減と効率的な廃棄物処理を実現するための最先端技術を搭載しています。この焼却炉は、特に排ガス規制が厳しい中国江蘇省南京市の施設に採用され、その高い性能が評価されています。500トン/日処理可能な焼却炉を4基設置し、合計で2000トン/日の廃棄物処理能力を誇ります。
また、この焼却炉は、地域ごとの廃棄物組成や環境要件に応じて柔軟に対応できる点が特徴です。施設内の排ガス処理システムは、半乾式と湿式の二段階プロセスを採用しており、半乾式プロセスで消石灰を使って酸性ガスを効率的に除去し、湿式プロセスでは循環水を使用してHClやSOxを高い除去率で処理します。
二段階処理により、排出レベルを規制値を大幅に下回る水準に抑制しています。さらに、焼却炉自体は高温での安定した燃焼を維持し、効率的なエネルギー回収を実現しています。
◇高度排ガス処理
荏原製作所の高度排ガス処理システムは、環境性能の向上とエネルギー効率の最適化を両立させる技術です。このシステムでは、乾式処理と湿式処理を組み合わせたプロセスを使用し、ガス・ガス熱交換器(GGH)を活用して全体の効率性を高めています。初期段階では乾式処理により、酸性ガスである塩化水素や硫黄酸化物を粗取りします。
乾式処理では、消石灰を排ガスに噴霧し、化学反応を通じて有害物質を除去。その後、湿式処理が行われ、循環水を使用してさらに細かな有害物質を取り除きます。この二段階処理によって、排ガス中の塩化水素濃度は10 mg/m³以下、硫黄酸化物濃度は50 mg/m³以下に抑えることが可能です。
また、湿式処理ではガス温度低下による効率低下を防ぐため、GGHが導入されます。この熱交換器は、湿式処理後の冷却された排ガスを再加熱することで、白煙の発生を防ぎ、低温腐食を抑制します。蒸気を使わずに加熱することで、エネルギーの節約にも貢献し、全体的な運用コストの削減が実現しています。
その他の排ガス処理装置おすすめメーカーをご紹介
これまで株式会社荏原製作所の排ガス処理装置について詳しく紹介しましたが、他にも注目すべき企業がいくつか存在します。ここでは、サンレー冷熱株式会社、ミウラ化学装置株式会社、カンケンテクノ株式会社の3社についてご紹介します。
◇サンレー冷熱株式会社
サンレー冷熱株式会社は、排ガス処理装置や脱臭装置に特化した製品群で業界内の評価が高い企業です。半導体や電子部品製造、石油化学、食品加工など、多岐にわたる分野に対応した装置を提供しています。特に燃焼方式、触媒方式、プラズマ方式など、様々な排ガス処理技術を揃えており、各企業の排ガス濃度や処理要件に応じたカスタム設計を得意としています。
中でもVOC(揮発性有機化合物)処理装置は環境保護の観点から高く評価されています。例えば、触媒燃焼式脱臭装置は、低濃度から高濃度の排ガスまで対応でき、効率的なガス分解を実現します。同社の技術力と製品の多様性は、排ガス処理の課題を抱えるさまざまな業界にとって頼もしい存在です。
◇ミウラ化学装置株式会社
ミウラ化学装置株式会社は、40年以上の歴史を持つ排ガス処理装置の設計・製造において実績のある老舗企業です。同社の排煙脱硫装置や脱硝装置は、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)の除去に優れ、発電所や焼却炉、ディーゼルエンジンなど多様な排ガス発生源に対応可能です。
また、ミウラ化学装置は効率的で経済性に優れたシステムを提供しています。例えば、SCR法(乾式アンモニア接触還元法)を用いた脱硝装置では、排ガス温度200~500℃の範囲で高い除去率を実現。ミウラ化学装置の製品は、現代の産業界が求める高い環境基準に適したソリューションを提供しています。
◇カンケンテクノ株式会社
カンケンテクノ株式会社は、脱臭・VOC処理装置や除害装置に強みを持つ企業です。熱酸化分解方式や吸着型の乾式処理装置など、幅広い技術を駆使して、環境保護に貢献する製品を提供しています。特に熱酸化分解方式を用いた排ガス処理装置は、揮発性有機化合物を高効率で分解する能力があり、さまざまな産業で実績があります。
同社は湿式スクラバ装置など、水溶性ガスの処理にも対応する技術を展開しており、ガスリサイクル装置事業にも注力しています。環境負荷を軽減しつつ、企業のコスト削減にも寄与するソリューションを提供することで、カンケンテクノは排ガス処理において包括的なアプローチを実現しています。
株式会社荏原製作所は、1912年に創業され、100年以上の歴史を誇る総合機械メーカーです。環境問題やインフラ整備に積極的に取り組んでおり、持続可能な社会の実現に貢献しています。
特に排ガス処理装置においては、真空環境下での排ガス処理技術やケミカルリサイクル技術を提供し、環境保護と資源の有効活用を実現しています。設置・移設の柔軟性も高く評価されています。
また、同社の技術は世界中で活躍しており、特に高度排ガス処理付き焼却炉は、厳しい環境基準を満たす革新的なシステムとして注目されています。
さらに、荏原製作所以外にも注目すべき企業があります。サンレー冷熱株式会社は、VOC処理装置に優れた技術を持つ企業です。ミウラ化学装置株式会社は、脱硫や脱硝装置で高い効率性を誇ります。
カンケンテクノ株式会社は、熱酸化分解方式やガスリサイクル装置に強みを持ち、環境負荷を軽減しつつコスト削減を実現しています。