臭いトラブルを防ぐ！脱臭方式の種類と排ガスの匂い対策に適した脱臭装置
工場の臭いは健康や地域住民に影響を与えるため、排気ガスや燃焼工程が主な原因です。脱臭装置には燃焼法、吸着法、生物脱臭法などがあり、各社は省エネルギー型や高効率の装置を提供し、臭気除去と環境負荷軽減を実現しています。
目次
工場等で発生する臭いに関する課題と原因
引用元：photo AC
工場で発生する臭いは、健康や作業環境に直接影響を与えるだけでなく、地域住民との関係にも波及する重要な課題です。臭いの原因や対策を知ることで、より良い環境を整え、問題の解決を目指しましょう。
◇工場で発生する臭いの原因
工場で発生する臭いの主な原因として挙げられるのは、製造工程で生じる排気ガスです。機械の稼働により大量の排気ガスが発生し、換気が不十分な場合、工場内に悪臭が広がる可能性があります。
さらに、燃焼工程も臭いの原因のひとつです。燃焼時に放出される排出物の臭いは不快感を与えやすく、工場周辺に影響を及ぼすことがあります。特に、硫化水素のような強い臭いを放つ物質は、わずかな量でも周囲に敏感に感じ取られることがあります。
これらの臭いは、従業員や周辺住民に悪影響を与える可能性があるため、原因を的確に特定し、効果的な対策を講じることが求められます。
◇臭いが原因で起こる問題
工場内の臭いが原因で引き起こされる問題として、まず従業員の体調不良や作業効率の低下が挙げられます。強い臭いは吐き気やめまいの原因となり、集中力の低下や作業の質にも悪影響を及ぼすことがあります。
さらに、工場外への臭いの流出は、地域住民からの苦情を招く可能性があります。地域社会との関係を損なうことは、事業運営にも影響を及ぼすため、十分な配慮が必要です。
また、臭いは従業員の衣服にも付着し、自宅に持ち帰ることで生活環境にも影響を与えます。このような状況は、ストレスや士気の低下を引き起こし、結果的に職場環境全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
脱臭装置とは？様々な脱臭方式
引用元：photo AC
脱臭装置は、工場や施設で発生する臭いを除去し、環境改善を図るために欠かせない機器です。臭いの特性や設置場所の条件に合わせて適切な方式を選ぶことで、効果的な脱臭が可能となります。
◇脱臭装置とは
脱臭装置は、工場や施設内で発生する悪臭を効果的に取り除く設備です。一般的には、悪臭の原因となるガスやミストを活性炭を用いた装置内に通過させ、臭い成分を吸着させる仕組みが採用されています。
装置の内部構造やガスの流路は、活性炭との接触時間を最大化するよう工夫されており、効率的な臭気除去を実現しています。据え置き型の装置だけでなく、移動が簡単なタイプもあり、臭気が一時的に発生する場面でも柔軟に対応できます。
また、活性炭以外にも特殊な物質や装置を組み合わせて脱臭性能を向上させる技術が研究・実用化されています。これにより、さまざまな環境や臭気レベルに対応可能です。
◇さまざまな脱臭方式
脱臭装置には多様な方式があり、それぞれ異なる原理で臭いを除去します。
燃焼法は、臭気成分を高温で燃焼させて分解する方法です。高濃度の臭いに効果的ですが、燃料コストが課題です。
吸着法は、活性炭などの吸着材に臭いを取り込む方法で、低濃度の臭いに適しています。ただし、臭気が強い場合には吸着材の頻繁な交換が必要となります。
薬液洗浄法は、酸やアルカリの薬液と臭気成分を化学反応させて除去する方式で、高温多湿の環境でも使用可能です。
生物脱臭法は、微生物の働きで臭気成分を分解する方法です。ランニングコストを抑えられる利点がありますが、対応可能な臭いに制限があります。
土壌脱臭法は、土壌中の微生物の分解作用や吸着効果を活用する方法です。維持管理が比較的容易ですが、広い処理エリアを必要とします。
さらに、消臭剤や脱臭剤を使用する方法や、オゾンを利用した脱臭法もあります。これらは手軽でコストが抑えられる一方で、薬剤の補充や残留物の管理が必要です。
また、紫外線触媒脱臭法は、低濃度の臭いに適しており、触媒の洗浄を行うことで繰り返し利用可能な点が特徴です。
排ガスの匂いに適した脱臭装置
引用元：photo AC
排ガスに含まれる臭気成分は、大気汚染や悪臭問題の一因となり、環境や人々の健康に深刻な影響を及ぼします。そのため、工場や産業施設では、排ガスの種類や臭気の強さに応じた適切な脱臭装置を導入することが重要です。
◇燃焼式脱臭装置
燃焼式脱臭装置は、排ガス中に含まれる有機化合物や悪臭成分を高温で酸化分解し、無害化する装置です。この装置の最大の特徴は、脱臭効率が80～99％と非常に高く、多様な臭質に対応できる点です。また、安定した性能を発揮するため、幅広い分野で活用されています。
一方で、燃料や電力を消費するためランニングコストが高く、処理過程でCO2やNOx、SOxといった物質が排出される課題もあります。燃焼式脱臭装置には主に「直接燃焼」「蓄熱燃焼（RTO）」「触媒燃焼」の3種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。
直接燃焼式は熱交換器とバーナーを用いたシンプルな構造で即効性に優れています。蓄熱燃焼式は、ハニカム状の蓄熱体を使用して燃料消費を抑える仕組みを採用しており、効率的な運用が可能です。触媒燃焼式は低温（300～400℃）で酸化反応を促進し、エネルギー消費を抑えられる点が特徴です。用途や排ガスの種類に応じて最適な方式を選定することが求められます。
◇水膜式スクラバー（デオライザー）
水膜式スクラバー（デオライザー）は、水膜を利用して排ガス中の臭気成分や粉塵を効率的に捕捉する脱臭装置です。従来のスクラバーは、充填材にシャワーを浴びせる方式が主流でしたが、臭気物質が逃げる可能性がありました。この課題を解決するために、水膜を形成して100％気液接触を実現するデオライザーが開発されました。
デオライザーは約40㎜の均一な水膜を作り出し、臭気や粉塵を確実に除去します。また、汚泥（スラッジ）の発生を抑える散気管アクアブラスターを採用しており、環境負荷を軽減しています。さらに、循環水を活用することで目詰まりを防ぎ、圧力損失を低減する仕組みが取り入れられています。
これにより、排ガス処理能力が長期間持続し、安定した運用が可能です。カートリッジの交換が簡単なため、メンテナンスの負担が軽減され、ランニングコストの削減にも寄与します。こうした特徴により、水膜式スクラバーは多くの工場や施設で採用されています。
排ガス処理装置のおすすめメーカー
工場や産業施設から排出される排ガスには、悪臭や有害物質が含まれることがあり、環境保護の観点から適切な処理が必要です。近年では、省エネルギー性や高い処理効率を備えた装置が求められ、各社が独自の技術を活かした製品を展開しています。
◇サンレー冷熱株式会社
サンレー冷熱株式会社は、燃焼技術を基盤とした環境装置の開発を行い、排ガスの脱臭対策にも対応可能な製品を提供するメーカーです。燃焼式脱臭装置をはじめ、電気触媒式やプラズマ方式などの技術にも対応し、VOC処理や悪臭対策、省エネルギー型の排ガス処理装置を提案しています。
| 会社名 | サンレー冷熱株式会社 |
| 所在地 | 〒573-1132 大阪府枚方市招提田近3-25 |
| 電話番号 | 072-856-3221 |
| 公式ホームページ | https://www.sunray-r.co.jp/ |
初期計画から保守管理まで一貫したサポートを行い、コンパクトで環境負荷の少ないシステムの導入が可能です。大阪・東京を中心に国内主要都市に拠点を構え、中国・韓国・台湾にも対応できるアフターサービスを展開し、迅速な対応を実現しています。
サンレー冷熱株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
▼サンレー冷熱は充実したメンテナンス体制とアフターサービスを提供
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇近藤工業株式会社
引用元：近藤工業株式会社
近藤工業株式会社は、環境機器の専門メーカーとして、排ガスの脱臭対策やVOC（揮発性有機化合物）処理を中心に、環境保護に貢献する技術を提供しています。設計・製作・販売・アフターサービスまでの一貫したサポート体制を整え、多様な産業のニーズに応える柔軟な対応が可能です。
| 会社名 | 近藤工業株式会社 |
| 所在地 | 〒473-0921 愛知県豊田市高丘新町天王11番地 |
| 電話番号 | 0565-52-2111 |
| 公式ホームページ | https://www.kogyo.kondo.co.jp/ |
従来の直接燃焼法による脱臭の課題を解決するため、触媒酸化法の開発・導入を先駆けて進め、さらにDurr社の蓄熱技術を取り入れた高効率な排ガス処理装置を展開しています。これにより、95％以上の高い熱回収率と99％以上のVOC処理効率を実現し、省エネルギーと環境負荷低減を両立しました。今後も、持続可能な地球環境を守るため、最先端技術を活用した環境対策ソリューションを提供し続けます。
近藤工業株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
◇株式会社ハイポテック
引用元：株式会社ハイポテック
株式会社ハイポテックは、工場から排出される有害ガスの処理に特化したスクラバー（排気処理装置）の開発・製造を行うメーカーです。塩化水素やフッ化水素、硫化水素、アンモニアなど、多様な臭気成分に対応し、効率的な除去を実現しています。主力製品である「充填スクラバー」や「マイクロガススクラバー Sorplex」は、薬剤を充填材として使用する湿式スクラバーで、高い吸収効率と耐久性を兼ね備えています。特に、腐食性の強いハロゲン化物質の処理に優れ、産業現場における環境対策の向上に貢献してきました。
| 会社名 | 株式会社ハイポテック |
| 所在地 | 〒104-0032 東京都中央区八丁堀3-22-13 PMO八丁堀ビル6階 |
| 電話番号 | 03-3553-2501 |
| 公式ホームページ | https://hipotech.co.jp/ |
また、用途に応じたカスタマイズ設計にも対応し、特定の排ガス成分に最適化されたスクラバーを提供しています。長期的に安全に使用できる設計が施されている点も大きな特徴です。
株式会社ハイポテックについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
工場で発生する臭いは健康や作業環境、地域住民との関係に悪影響を及ぼします。臭いの主な原因は製造工程での排気ガスや燃焼工程によるものです。特に硫化水素などの強い臭気物質は周囲に敏感に感じ取られ、従業員の体調不良や作業効率の低下、地域住民からの苦情を引き起こすことがあります。このため、臭いの原因を特定し、適切な対策を講じることが重要です。
臭いを除去するためには脱臭装置が必要で、さまざまな方式があります。燃焼法は高温で臭気成分を分解する方法で高効率ですが、燃料費がかかります。吸着法や薬液洗浄法は低濃度の臭気に効果的で、生物脱臭法はランニングコストが抑えられます。水膜式スクラバーは、均一な水膜を用いて臭気や粉塵を確実に除去するため、長期的に安定した効果を発揮します。
各社は、効率的で環境に配慮した脱臭技術を提供しています。サンレー冷熱株式会社は燃焼技術や省エネルギー型排ガス処理装置を提案し、近藤工業株式会社は触媒酸化法や蓄熱技術を組み合わせて高効率排ガス処理装置を開発しています。ハイポテックは、湿式スクラバーを使い、腐食性の強いガスを高効率で除去する製品を提供しています。これらの装置により、臭いの除去と環境負荷軽減が実現されています。
