脱臭装置とは?方式別の選び方と費用相場|悪臭対策の比較ガイド
工場や施設の排気には、作業工程や原料の影響によってさまざまな臭気が含まれる場合があります。臭気は周辺環境への影響や苦情の原因となることがあるため、適切な対策が重要です。
その対策設備として利用されるのが脱臭装置です。脱臭装置には複数の方式があり、臭気成分や排気条件によって適した装置が異なります。
本記事では、脱臭装置の基本的な仕組み、方式ごとの特徴、選び方のポイント、費用相場について整理します。
目次
脱臭装置とは(排ガス処理装置との違いも含めて定義)

工場や施設の排気には、作業工程や原料の影響によってさまざまな臭気が含まれる場合があります。臭気は周辺環境への影響や苦情の原因になることがあるため、適切な対策が求められます。臭気対策として導入される設備の代表例が「脱臭装置」です。
こちらでは、脱臭装置の基本的な役割と、排ガス処理装置との違いについて整理します。
「脱臭=臭気対策」「排ガス処理=有害成分/規制対応」になりやすい違い

脱臭装置とは、排気に含まれる臭気成分を除去または分解することで、臭いを低減するための装置です。工場排気、食品加工、化学工場、下水処理施設など、臭気が発生する場所で使用されます。
一方、排ガス処理装置は、有害ガスや有機溶剤などの化学物質を除去することを主な目的とする設備です。法規制への対応や大気汚染防止を目的とするケースが多く、処理対象となる物質も臭気成分に限られません。
一般的な違いは次のように整理できます。
脱臭装置
- 臭気成分の低減を主な目的とする設備
- 周辺環境の臭気対策や苦情防止の目的で導入される
排ガス処理装置
- 有害ガスや揮発性有機化合物(VOC)などの除去を目的とする設備
- 環境規制や排出基準への対応として導入される
実際の設備では、臭気対策と排ガス処理の両方を兼ねるケースもあります。例えばVOCを含む排気では、臭気対策と同時に排ガス処理が必要になることがあります。そのため、排気の成分や濃度を把握したうえで装置方式を選定することが重要です。
【あわせて読みたい】
臭いの原因別:まず“臭気成分”で当たりをつける

脱臭装置を選定する際は、臭いの強さだけで判断するのではなく、排気に含まれる臭気成分を把握することが重要です。臭気の種類によって適した処理方式が異なるため、原因成分を特定することで装置方式の選定がしやすくなります。
工場や施設の臭気は、工程や使用原料によって発生する化学成分が異なります。代表的な臭気成分と発生源を整理しておくことで、脱臭方式の検討が進めやすくなります。
代表的な臭気成分と発生源
臭気の原因となる成分には、硫黄系化合物、アンモニア、脂肪酸、VOCなどさまざまな種類があります。発生源となる業界や工程によって、含まれる成分の傾向が異なります。
代表的な例は次のとおりです。
- アンモニア:食品工場、下水処理施設、畜産施設など
- 硫化水素:下水処理施設、排水処理設備、パルプ工場など
- メチルメルカプタンなど硫黄系化合物:化学工場、製紙工場、食品加工など
- 脂肪酸:食品加工、油脂製造、排水処理工程など
- 揮発性有機化合物(VOC):塗装工程、化学製造、印刷工場など
臭気成分を把握することで、どの脱臭方式が適しているかを検討しやすくなります。
早見表:成分→方式の相性
| 臭気成分 | 発生源例 | 相性の良い脱臭方式 |
|---|---|---|
| アンモニア | 下水処理、食品工場 | 薬液洗浄(スクラバー)、生物脱臭 |
| 硫化水素 | 排水処理設備、製紙工場 | 薬液洗浄、活性炭吸着 |
| 硫黄系化合物 | 化学工場、食品加工 | 燃焼脱臭、活性炭吸着 |
| 脂肪酸 | 食品加工、油脂製造 | 生物脱臭、活性炭吸着 |
| VOC | 塗装、印刷、化学工場 | 触媒燃焼、直接燃焼 |
脱臭装置の方式選定では、臭気成分の種類だけでなく濃度や排気量も重要な要素になります。そのため、臭気成分の分析結果や排気条件をもとに適した方式を検討することが重要です。
方式別比較

脱臭装置にはさまざまな方式があり、臭気成分や排気条件によって適した方式が異なります。装置方式によって初期費用、ランニングコスト、保守内容なども変わるため、用途や排気条件に合わせた選定が重要です。こちらでは代表的な脱臭方式として、活性炭吸着、薬液洗浄(スクラバー)、燃焼脱臭、生物脱臭、オゾン脱臭の特徴を整理します。
方式比較表(コスト・保守・適用範囲)
| 方式 | 初期コスト | 保守管理 | 適用範囲 |
|---|---|---|---|
| 活性炭吸着 | 低~中 | 活性炭交換が必要 | 中低濃度の有機臭気 |
| 薬液洗浄(スクラバー) | 中 | 薬液管理・排水処理 | アンモニア、硫化水素など |
| 燃焼脱臭 | 高 | 燃料管理・設備管理 | 高濃度VOC |
| 生物脱臭 | 中 | 微生物環境の管理 | 低濃度・大風量臭気 |
| オゾン脱臭 | 低~中 | オゾン発生装置管理 | 局所臭気対策 |
活性炭吸着
活性炭吸着方式は、活性炭の微細な孔に臭気成分を吸着させて除去する方法です。比較的シンプルな構造で導入しやすく、多くの臭気対策で採用されています。
主な特徴は次のとおりです。
- 設備構造が比較的シンプルで導入しやすい
- 中低濃度の臭気対策に適している
- VOCや有機臭気成分の処理に向いている
- 活性炭の交換や管理が必要
臭気濃度が高い場合や排気量が大きい場合は、活性炭の交換頻度が高くなることがあります。
薬液洗浄(スクラバー)
薬液洗浄方式は、薬液を使用して臭気成分を化学反応により除去する方式です。排気を薬液と接触させることで臭気成分を溶解・分解します。
主な特徴は次のとおりです。
- 水溶性ガスや酸性・アルカリ性ガスの処理に適している
- アンモニアや硫化水素などの臭気対策に利用される
- 排気量が比較的大きい設備にも対応可能
- 薬液管理や排水処理が必要
排水処理や薬液管理が必要になるため、設備運用の管理体制も検討する必要があります。
燃焼
燃焼脱臭は、臭気成分を高温で酸化分解することで臭いを除去する方式です。直接燃焼方式や触媒燃焼方式などがあります。
主な特徴は次のとおりです。
- VOCなど有機ガスの処理に適している
- 高濃度臭気の処理が可能
- 分解効率が高い
- 燃料コストや設備コストが比較的高い
排気量が多い場合や高濃度ガスを処理する場合に採用されることが多い方式です。
生物
生物脱臭は、微生物の働きによって臭気成分を分解する方式です。生物フィルターやバイオスクラバーなどの設備があります。
主な特徴は次のとおりです。
- 微生物によって臭気成分を分解する
- ランニングコストが比較的低い
- 排水処理施設や食品工場などで利用される
- 温度や湿度などの運転条件の管理が必要
低濃度で大風量の臭気対策に向いている方式とされています。
オゾン等
オゾン脱臭は、オゾンの強い酸化作用を利用して臭気成分を分解する方式です。比較的小型設備で導入できるケースがあります。
主な特徴は次のとおりです。
- 酸化反応により臭気成分を分解する
- 比較的小型設備で導入できる
- 局所的な臭気対策に利用される場合がある
- 臭気の種類によって効果が変わる
処理対象となる臭気成分や濃度によって適用可否が変わるため、事前の検討が重要です。
選定チェックリスト
| チェック項目 | 確認内容 | 選定時のポイント |
|---|---|---|
| 臭気成分 | 臭気の主成分(アンモニア、硫化水素、VOCなど) | 成分によって適した脱臭方式が異なるため、分析結果をもとに方式を検討する |
| 濃度変動 | 臭気濃度の変動幅(時間帯・工程による変化) | 濃度変動が大きい場合は処理能力に余裕を持った装置選定が必要 |
| 湿度 | 排気の湿度条件 | 高湿度の場合は吸着性能の低下や腐食の可能性を考慮する |
| ミスト | 油ミストや水ミストの有無 | ミストが多い場合はプレフィルターや前処理設備を検討する |
| 腐食 | 腐食性ガスの有無 | 硫化水素など腐食性成分がある場合は材質選定が重要 |
| 設置制約 | 設置スペースや搬入条件 | 設置スペースやダクト配置に合わせた装置サイズや構成を検討する |
| 廃液 | 薬液洗浄方式などで発生する廃液の処理 | 排水処理設備や廃液処理方法の確認が必要 |
【あわせて読みたい】
導入前チェックリスト

脱臭装置の見積を依頼する際は、排気条件や設置条件の情報を整理しておくことが重要です。必要な情報が不足している場合、概算見積になりやすく、装置方式や費用の検討が難しくなることがあります。事前に条件を整理しておくことで、装置方式の検討や見積精度を高めやすくなります。こちらでは、脱臭装置の導入前に確認しておきたいチェック項目を整理します。
| 区分 | 確認項目 |
|---|---|
| 臭気条件 | 臭気の発生源となる工程や設備 |
| 臭気条件 | 主な臭気成分(アンモニア、硫化水素、VOCなど) |
| 臭気条件 | 臭気濃度や臭気指数の測定結果 |
| 排気条件 | 排気量(風量) |
| 排気条件 | 排気温度や湿度 |
| 排気条件 | 排気ダクトの位置や排気方向 |
| 設置条件 | 装置の設置スペース |
| 設置条件 | 電源やユーティリティ条件 |
| 運用条件 | 稼働時間や運転条件 |
| 運用条件 | メンテナンス体制や管理方法 |
これらの情報を整理しておくことで、装置方式の検討や設備規模の算定が行いやすくなります。見積依頼の際に排気条件や臭気条件を共有すると、より具体的な設備提案や費用見積につながる場合があります。
脱臭装置の選定チェックリストを無料DL(見積もりが早くなる)
おすすめの脱臭装置メーカー3社を比較

脱臭装置メーカーを比較する際は、装置の性能だけでなく運用条件やサポート体制も含めて検討することが重要です。本記事では、対応できる臭気成分や排気条件への適合性、運用コストの見通し、保守・メンテナンス体制、導入実績の公開度などを主な評価基準として整理しています。
また、臭気測定や要件整理、装置選定の支援など導入前のサポート体制も比較のポイントとしています。これらの観点をもとに、脱臭装置の導入を検討する際に参考となるメーカー情報を紹介します。
比較表
| 会社名 | 対応臭気領域 | 運用コスト見通し | 保守体制 | 実績の公開度 | 要件整理支援 |
|---|---|---|---|---|---|
| サンレー冷熱 | VOC・溶剤臭・塗装乾燥炉排気・化学/食品/廃水処理などの臭気。直接燃焼・触媒燃焼方式に対応 | 直接燃焼の乾式処理で設備構成が比較的シンプル。自動制御により維持管理や人件費を抑えやすい | 定期点検、燃焼調整、オーバーホール、改修提案、年間保守契約など包括的なアフターサービス | ○ | 装置更新や改修提案、運転代行など運用面の支援あり |
| カンケンテクノ株式会社 | VOC(トルエン、酢酸エチル、IPAなど溶剤系排気) | 環境庁の資料に基づくエネルギーコスト試算あり(例:約1,520万円/年) | 自社メンテナンス体制。国内拠点に加え海外拠点からの対応も可能 | △ | 装置導入・運用に関する技術支援 |
| 中外炉工業株式会社 | VOC排ガス処理 | ガス成分に応じた最適設計と熱交換器により燃焼エネルギー消費の削減を検討可能 | 定期点検、予防保全、劣化診断、部品更新提案、IoT監視(CRism)による状態監視 | △ | 設備診断や運転改善提案などの技術支援 |
サンレー冷熱

サンレー冷熱株式会社は、直接燃焼式や触媒燃焼式の脱臭装置を中心に、VOCや溶剤臭など幅広い排ガス処理に対応する環境装置メーカーです。塗装乾燥炉、印刷設備、化学プラント、食品加工設備、排水処理設備など、多様な産業分野の臭気対策に対応しています。
装置は適切な燃焼温度と滞留時間を確保することで有機ガスを分解処理し、急冷装置やバグフィルタなどの公害対策設備と組み合わせて排ガス処理を行います。自動制御による運転や熱回収設計により、省人化と省エネルギー運用を両立しています。定期点検やオーバーホール、設備改修などの保守サービスにも対応しています。
| 会社名 | サンレー冷熱株式会社 |
| 所在地 | 〒573-1132 大阪府枚方市招提田近3-25 |
| 電話番号 | 072-856-3221 |
| 公式ホームページ | https://www.sunray-r.co.jp/environment/ |
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
カンケンテクノ株式会社

カンケンテクノ株式会社は、半導体・電子部品工場などの排ガス処理分野で実績を持つ環境装置メーカーです。排ガス条件に応じて、熱酸化分解方式、乾式処理方式、湿式スクラバーなどを組み合わせた設備を提供しています。
湿式スクラバーではIPAやNMP、アンモニア、HFなどの水溶性ガスを吸収処理でき、触媒式装置ではVOCを比較的低温で分解することが可能です。高効率熱交換器による省エネ設計も特徴で、自社メンテナンス体制により国内外で保守対応を行っています。
| 会社名 | カンケンテクノ株式会社 |
| 所在地 | 〒617-0833 京都府長岡京市神足太田30-2 |
| 電話番号 | 075-955-8823 |
| 公式ホームページ | https://www.kanken-techno.co.jp/ |
カンケンテクノ株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
中外炉工業株式会社

中外炉工業株式会社は、熱処理炉や排ガス処理設備を手がけるエンジニアリング企業です。VOCや塩素・フッ素を含む排ガス処理設備を提供し、高温燃焼による分解処理を行います。
設備全体を負圧で制御する設計により、有害ガスの外部漏洩を防止しています。燃焼後の排ガスを急冷することでダイオキシンの再合成を抑制し、条件によっては塩酸回収にも対応可能です。定期点検や予防保全に加え、IoT監視システムによる設備状態管理も行っています。
| 会社名 | 中外炉工業株式会社 |
| 所在地 | 〒541-0046 大阪府大阪市中央区平野町3-6-1 |
| 電話番号 | 06-6221-1251 |
| 公式ホームページ | https://chugai.co.jp/ |
中外炉工業株式会社の口コミ評判記事はこちら!
脱臭装置の導入事例
脱臭装置は、食品工場、排水処理施設、畜産施設、化学工場など、さまざまな現場で臭気対策として導入されています。臭気の原因や排気条件は施設ごとに異なるため、臭気成分や排気量に応じて適した脱臭方式を選定することが重要です。
こちらでは、実際の導入事例として、臭気の課題、採用した対策、導入後の効果を整理します。
医療施設の排水臭気を解決

| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | 病院の排水処理施設で運転開始後に臭気問題が発生。原水槽と消毒反応槽からの排気に硫化水素臭が含まれ、施設周辺の道路でも臭気が感じられる状況となっていた。 |
| 対策 | 湿度の高い排気条件を考慮し、吸着式脱臭方式を採用。硫化水素臭に対応する脱臭剤としてヨウ素炭を選定し、コンパクトなタンデム式吸着脱臭器(TDM-3CP)を導入した。設置スペースが限られていたため、吸込口や吹出口の位置を現場条件に合わせた特注仕様とした。 |
| 効果 | 脱臭装置設置後は、排出口付近でも臭気が感じられない状態となり、施設周辺の臭気が改善された。メンテナンスは約3ヶ月ごとにヨウ素炭を交換する運用とし、安定した脱臭効果が確認されている。 |
食品調理で発生する臭気を解決

| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | インスタント食品工場の新工場計画において、食品フライヤー排気(高温・多湿・オイルミストを含む大風量排気)による臭気苦情が懸念された。設立予定地は住宅が多い地域であり、操業前の段階から臭気対策の検討が必要となっていた。 |
| 対策 | 新工場ではまだ臭気が発生していないため、既存工場の同様工程の排気を用いて脱臭テストを実施。食品工場や厨房排気で実績のあるゼオガイア脱臭装置を選定し、デモテストで性能を確認したうえで実機を設計・導入した。新工場では排気量264m³/minのラインに対して合計3ラインの脱臭装置を設置し、プレフィルターにはアルミエキスパンドフィルターを採用した。 |
| 効果 | 脱臭テストでは90~92%の脱臭効率を確認。本装置導入後も約90%の脱臭効率を実現し、臭気濃度は入口16,000から出口1,600まで低減した。住宅地周辺での操業を想定した臭気対策として導入効果が確認された。 |
豚舎の臭気を解決

| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | 養豚施設の開放型豚舎(カーテン式肥育豚舎)で発生する臭気の低減が課題となっていた。周辺環境への臭気影響を抑えるとともに、豚舎内の環境改善も求められていた。 |
| 対策 | 養豚事業者と自治体による実証実験として、次亜塩素酸水を用いた脱臭装置を導入。生成器で次亜塩素酸水を生成し、超音波装置で霧状にして豚舎内の配管から噴霧する方式を採用した。 |
| 効果 | 臭気センサー測定では、天井部および豚舎周辺で臭気値の低減を確認。脱臭効果に加えて空冷効果も確認され、夏場の飼料摂取量の増加や成長速度の改善など、飼育環境の向上にもつながった。さらに抗菌効果も確認され、病気予防対策としての効果も期待されている。 |
化学物質の除去時に発生する臭気を解決

| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | 化学物質を除去する工程で発生する悪臭の対策が必要だった。排気温度が高く、既存の脱臭装置では十分な脱臭効果が得られない状況となっていた。 |
| 対策 | 高温の排気に常温空気を取り入れて温度を下げたうえで、活性炭による吸着脱臭方式を採用。さらにランニングコストを抑えるため、活性炭のみ交換・リサイクルが可能な脱臭装置を導入した。 |
| 効果 | 悪臭の除去に成功し、作業環境の改善につながった。 |
脱臭装置でよくある失敗

脱臭装置は臭気成分や排気条件に応じて方式を選定する必要があります。方式選定や運用条件の確認が不十分な場合、導入後に想定外のコストや効果不足が発生するケースがあります。こちらでは、脱臭装置導入時に起こりやすい失敗事例を紹介します。
活性炭交換コストが想定外に増加した

ある工場では、比較的導入しやすい方式として活性炭吸着式の脱臭装置を採用しました。初期費用は抑えられたものの、実際に稼働を開始すると臭気濃度が想定より高く、活性炭の交換頻度が増加しました。
当初は年1回程度の交換を想定していましたが、実際には数ヶ月ごとに交換が必要となり、活性炭の交換費用と作業コストが想定以上に発生しました。結果としてランニングコストが増加し、運用コストの見直しが必要になりました。
廃液処理がネックになった
別の施設では、アンモニア臭の対策として薬液洗浄方式(スクラバー)を導入しました。脱臭性能は良好でしたが、薬液洗浄により発生する廃液処理が想定よりも大きな負担となりました。
廃液処理設備の容量や処理コストを十分に検討していなかったため、排水処理の運用負担が増加しました。結果として廃液処理の管理コストや設備運用の手間が増え、運用方法の再検討が必要となりました。
臭気成分が変動して脱臭効果が安定しない
ある食品工場では、特定の臭気成分を想定して脱臭装置を選定しました。しかし、実際の排気では原料や製造条件によって臭気成分が変動しており、想定した方式では十分な脱臭効果が得られない時間帯がありました。
臭気成分の変動を考慮していなかったため、装置の性能が安定せず、追加対策の検討が必要となりました。このようなケースでは、事前の臭気測定やデモテストを行い、臭気条件を把握しておくことが重要です。
よくある質問(FAQ)

脱臭装置の導入を検討する際は、臭気指数の考え方や測定方法、見積の取得方法、法令対応などについて疑問が生じることがあります。臭気対策は排気条件や施設環境によって対応方法が変わるため、基本的なポイントを理解しておくことが重要です。こちらでは、脱臭装置に関してよくある質問をFAQ形式で整理します。
Q. 臭気指数とは何ですか?

A. 臭気指数とは、臭いの強さを数値で表す指標です。人が臭いを感じなくなるまでに何倍に希釈する必要があるかを測定し、その結果を数値化したものです。臭気対策では、自治体の規制基準や周辺環境への影響を評価する際に臭気指数が参考指標として利用される場合があります。
Q. 臭気はどのように測定しますか?
A. 臭気測定は、臭気判定士などの専門機関が実施することがあります。代表的な方法として三点比較式臭袋法があり、臭気を段階的に希釈して臭いを感じなくなる濃度を測定します。測定結果をもとに臭気指数を算出し、臭気対策の検討や装置選定の参考にすることがあります。
Q. 脱臭装置の見積はどのように依頼しますか?
A. 見積を依頼する際は、排気量、臭気成分、排気温度、設置スペースなどの条件を整理して伝えることが重要です。これらの情報が明確であれば、装置方式の検討や概算費用の算出が行いやすくなります。条件が不明確な場合は、現地調査や臭気分析を行ったうえで見積が提示されるケースもあります。
Q. 脱臭装置には法令対応が必要ですか?
A. 脱臭設備の導入では、悪臭防止法や大気汚染防止法などの関連法令が関係する場合があります。特に工場や事業所では、自治体が定める臭気規制基準への対応が求められることがあります。地域によって規制内容が異なるため、設置場所の規制条件を確認したうえで装置方式を検討することが重要です。
【あわせて読みたい】
注意点

脱臭装置を選定する際は、方式の特徴やカタログ性能だけで判断しないことが重要です。臭気対策は排気に含まれる成分や濃度、排気量、温度などの条件によって適した方式や処理性能が変わる場合があります。装置方式の特徴と排気条件の関係を理解しておくことで、設備選定の判断がしやすくなります。こちらでは、脱臭装置の検討時に押さえておきたい代表的な注意点を整理します。
方式は臭気成分で適否が変わる
脱臭装置にはさまざまな方式がありますが、すべての臭気に同じ効果が得られるわけではありません。臭気の原因となる成分によって、適した処理方式が変わります。
例えば次のような傾向があります。
- アンモニアや硫化水素などの水溶性ガスは薬液洗浄方式が適する場合がある
- 有機溶剤系の臭気(VOC)は燃焼方式や活性炭吸着方式が採用される場合がある
- 低濃度で大風量の臭気では生物脱臭が利用される場合がある
このように臭気の種類によって処理方式の適否が変わるため、臭気成分の分析や発生源の確認が装置選定の重要な要素になります。
数値は条件依存
脱臭装置の性能は、カタログに記載されている除去率や処理能力だけで判断できない場合があります。装置性能は試験条件や設計条件によって示されていることが多く、実際の排気条件とは異なるケースがあります。
例えば次のような条件が性能に影響することがあります。
- 排気量
- 臭気濃度
- 温度や湿度
- 排気成分の組成
同じ装置方式でも、排気条件が変わると処理性能や運転コストが変わることがあります。そのため、装置方式を比較する際はカタログ数値だけで判断するのではなく、対象となる排気条件をもとに検討することが重要です。
まとめ

今回は脱臭装置の種類や方式別の選び方、費用相場について解説しました。脱臭装置を選定する際は、臭気成分、排気量、湿度、ミストの有無などの条件を整理したうえで、適した方式を検討することが重要です。
また、装置方式によって初期費用や運用コスト、保守内容も異なるため、導入前に比較検討を行うことが求められます。脱臭装置の導入や臭気対策を検討しているなら本記事を参考にしてください。
この記事を読んでいる人におすすめ