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排ガス処理装置の基礎知識！乾式・湿式それぞれのスクラバーの特徴と選び方

スクラバーは、排ガス中の有害物質を物理的または化学的手法で除去する装置です。湿式スクラバーは水溶性の汚染物質、乾式スクラバーは疎水性ガスや臭気物質に効果的です。両者は環境保護と効率的な運用に貢献します。

排ガス処理装置についておさらい！目的と用途について

スクラバーは、排気ガス中の有害物質を取り除くための装置で、化学的または物理的な方法を使用して汚染物質を処理します。多くの産業で活躍し、環境保護に貢献しています。

◇排ガス処理装置（スクラバー）とは  

スクラバーは、排気ガス中に含まれる有害物質を、化学反応や物理的な捕集によって取り除く装置です。さまざまな種類の汚染物質に対応できるため、幅広い業界で活用されています。

構造の柔軟性も大きな特長で、排気ガスの性質や流量に応じて最適な仕様にカスタマイズできるため、用途や設置環境に合わせた対応が可能です。

近年では、エネルギー効率や運用コストを重視した設計が進み、環境負荷の軽減と経済性の両立が図られています。これにより、スクラバーは持続可能な排ガス処理の手段として、長期的な導入と運用が推奨されています。

◇スクラバーの目的と用途  

スクラバーの主な役割は、工場や各種施設から排出される有害物質を効果的に除去し、大気環境を守ることです。これにより、周辺地域への汚染防止だけでなく、施設内で働く作業員の健康リスクを軽減することにもつながります。

処理の対象となる物質には、硫黄酸化物（SOx）や窒素酸化物（NOx）、揮発性有機化合物（VOC）などがあり、いずれも大気汚染の主要な原因とされています。

スクラバーはさまざまな業界で活躍しており、用途ごとに異なる機能を発揮しています。たとえば、化学工場では腐食性の強いガスを中和し、金属精錬工場では排気中の重金属粒子を捕集するのに利用されます。また、食品加工や医薬品製造の現場では、製造過程で発生する臭気や微細な粒子を取り除く目的で導入されています。

さらに、ごみ焼却施設ではダイオキシン類の除去、半導体製造では特殊な反応性ガスの処理に使われるなど、スクラバーは環境保全と産業活動の両立を支える重要な技術として、現代のものづくりに欠かせない存在となっています。

◇ドラフトチャンバーとの違い

ドラフトチャンバーは、主に実験室や研究施設で使われる「局所排気装置」です。作業中に発生する有害ガスや揮発性物質を、作業空間から素早く吸引・排気し、作業者や室内環境を保護することが目的です。ドラフトチャンバー内は常に排気状態（減圧）となっており、発生したガスが室内に拡散しないように設計されています。

作業空間の前面以外を囲い、前面には可動式のガラスサッシを設けて、作業者が薬品や化学物質を安全に取り扱えるように設計されています。内部で発生した有害ガスや蒸気は、ドラフトチャンバー内の排気システムによって常時吸引され、作業者や室内への拡散を防ぎます。

この仕組みにより、有害物質は発生源からすぐに吸い出され、外部へ漏れることなく排気ダクトを通じて処理装置（例えばスクラバーなど）に送られます。囲い式のため、排気風量を効率的に利用でき、より高い封じ込め性能を発揮します。

また、ドラフトチャンバーには作業用の電源やガス、給水などのユーティリティも組み込まれており、前面のガラスサッシは飛散や突沸などから作業者を守る役割も果たしています。

本体の材質やサイズ、設置形態（卓上型・大型床置き型など）は用途に応じて選択でき、内部で発生する有害ガスの種類に合わせて乾式・湿式スクラバーなどの排ガス処理装置を組み込むことも可能です。
一方、スクラバーは、ドラフトチャンバーや工場などから排出される有害ガスや臭気成分を、大気中に放出する前に「除去・浄化」するための装置です。主にフィルターや中和液、吸着剤などを用いて、ガス中の有害成分を化学的または物理的に除去します。

湿式スクラバーは洗浄液でガスを中和・吸収し、乾式スクラバーは活性炭などの吸着剤でガス成分を吸着します。

液体を使用して排ガス処理を行う湿式スクラバー

湿式スクラバーは、液体を用いて排ガス中の汚染物質を除去する装置です。ガスと液体を直接接触させることで、効率的に有害物質を取り除きます。

◇湿式スクラバーとは  

湿式スクラバーは、排ガスに含まれる汚染物質を液体の力で取り除く装置です。ガスと液体を直接接触させることで、有害成分を液体中に吸収させるという、シンプルながら高い効果を発揮する処理方式です。

運転時には、排風機や排気ファンによってガスがスクラバー内部に引き込まれ、そこで液体と接触します。この過程で汚染物質が取り除かれ、浄化されたガスが排出されます。

また、湿式スクラバーにはいくつかの種類があり、処理対象となるガスの性質や求められる除去効率に応じて使い分けられます。これにより、さまざまな種類の排ガスに柔軟に対応できるのが大きな特長です。

◇排ガス除去の2つの仕組み  

湿式スクラバーは、2つの主要な仕組みを使って排ガスを浄化します。

・物理吸収  

物理吸収は、排ガス中に含まれる汚染物質を、液体に溶かし込むことで除去する方式です。とくに、水に溶けやすい性質を持つ汚染物質に対して高い効果を発揮します。ガスと液体が直接接触することで、ガス中の成分が液体中へと移行し、効率的に吸収されます。

たとえば、硫黄酸化物（SO₂）やアンモニア（NH₃）などは水に溶けやすく、湿式スクラバーを使うことで高い除去効果が得られます。

この方式の大きなメリットは、処理条件に柔軟に対応できる点です。液体の流量や接触面積を調整することで、ガスの濃度や流速が変化しても安定した処理性能を維持できます。そのため、排ガスの流量が一定でない環境でも、スクラバーの運転条件を調整することで最適な除去効果を発揮でき、さまざまな施設での運用に対応可能です。

・化学吸収  

化学吸収は、排ガス中の有害成分と、液体中に含まれる薬品を反応させることで、汚染物質を無害な化合物に変える処理方法です。単なる溶解にとどまらず、化学反応によって成分を分解・中和するため、物理吸収だけでは対処が難しい汚染物質にも効果的です。

たとえば、酸性ガスである硫黄酸化物や塩化水素（HCl）は、アルカリ性の溶液と反応することで中和され、無害な塩類へと変化します。逆に、アルカリ性のガスに対しては、酸性の溶液を用いて同様に中和処理が可能です。

この方法は、対象となるガスの性質や濃度に応じて薬品を選択できるため、非常に幅広いガス成分に対応できます。また、法規制で定められた基準値をクリアするためにも効果的で、除去効率が求められる現場に適しています。

化学吸収は、複雑で処理の難しい汚染物質にも対応できる高性能な方法として、多くの産業分野で利用されています。

吸着により排ガス処理を行う乾式スクラバー

乾式スクラバーは、固体吸着材を使用して排ガス中の汚染物質を除去する装置です。液体を使わず、固体の吸着材が特定の成分を捕えることで、ガスから有害物質を取り除きます。

◇乾式スクラバーとは  

乾式スクラバーは、排ガス中の汚染物質を液体ではなく固体の吸着材によって除去する装置です。使用される吸着材は、特定の有害成分を選択的に吸着する性質を持ち、この働きにより効率よくガス中の汚染物質を取り除くことができます。

湿式スクラバーと異なり、液体を一切使用しないため、装置はシンプルでコンパクトな構造となっており、設置スペースが限られる場所でも導入しやすいのが特徴です。また、液体の管理や排水処理が不要な分、メンテナンスも比較的容易です。

乾式スクラバーは主に、臭気成分や揮発性有機化合物（VOC）の除去に用いられています。軽量で取り扱いやすく、運用コストも抑えられることから、さまざまな施設で導入が進んでいます。

◇乾式スクラバーの仕組み  

乾式スクラバーは、排ガス中の汚染物質を固体吸着材と接触させて吸着・除去する方式の装置です。排ガスはまずフィルターを通ってスクラバー内部へと導かれ、そこで吸着材と接触することで有害成分が取り除かれます。処理後のガスは、浄化された状態で大気中へ排出されます。

使用される吸着材には、活性炭、ゼオライト、シリカゲルなどがあり、対象とする汚染物質に応じて使い分けられます。

たとえば、活性炭は揮発性有機化合物（VOC）や臭気物質の除去に優れており、ゼオライトはアンモニアや硫黄酸化物などの吸着に効果を発揮します。

ただし、吸着材には吸着できる量に限界があり、時間の経過とともにその効果は低下します。吸着材が飽和状態に達した場合には、定期的な交換や再生処理が必要となります。安定した運用を続けるためには、吸着材の状態を定期的に点検・管理することが重要です。

乾式スクラバーの燃焼方式には「蓄熱燃焼」「触媒燃焼」「直接燃焼」の3つがあります。

蓄熱燃焼

装置の中にセラミックなどの蓄熱材を入れておき、排ガスを高温で燃やして分解します。蓄熱材が熱をためておき、次に来たガスを温めるので、燃料の節約ができるのが特徴です。省エネで効率が良いですが、装置が大きくなりやすいです。

触媒燃焼

貴金属などの触媒を使って、ガスを低い温度で分解します。直接燃焼よりも低温で反応するので、エネルギーの節約になります。ただし、触媒は長く使うと劣化したり、特定の成分で効き目が悪くなったりします。

直接燃焼

ガスをそのまま高温（650～800℃くらい）で燃やして分解する方法です。ほとんどの有害ガスや臭いに対応できますが、高温で運転するため燃料代がかかり、運転コストが高くなります。また、NOx（窒素酸化物）も多く発生しやすい傾向にあります。

乾式？湿式？スクラバーの選び方

湿式スクラバーは、水溶性の汚染物質が多い排ガスに対して効果的です。硫黄酸化物やアンモニア、酸性ガス（塩化水素、フッ化水素、亜硫酸ガスなど）の除去に優れた性能を発揮します。

◇湿式スクラバーが適したケース

湿式スクラバーは、排ガス中に水に溶けやすい汚染物質が多く含まれている場合に、特に高い効果を発揮する装置です。たとえば、硫黄酸化物（SOx）やアンモニア、その他の酸性ガスは水に溶解しやすく、スクラバー内で液体と接触させることで効率よく除去することができます。

この仕組みにより、高い除去性能を維持しながら、比較的シンプルな運用管理が可能となります。そのため、湿式スクラバーはさまざまな産業分野で広く採用されています。

特に、化学工場や研究施設、発電所、製鉄所などでは、排ガス中に酸性ガスや硫黄化合物が多く含まれる傾向があるため、湿式スクラバーが最適な排ガス処理手段として活用されています。

◇乾式スクラバーが適したケース

乾式スクラバーは、固体の吸着材を使って排ガス中の汚染物質を除去する装置です。とくに、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトンといった揮発性有機化合物（VOC）や臭気成分など、水に溶けにくい疎水性ガスの処理に非常に効果的です。これらの成分は液体による洗浄では除去しづらいため、吸着を利用する乾式方式が最適な選択肢となります。

さらに、乾式スクラバーは湿式タイプに比べて装置がコンパクトで、構造もシンプルなためメンテナンスが容易です。設置スペースが限られる現場でも導入しやすく、省スペース化にも貢献します。

その特性から、製薬工場や有機合成の研究施設、食品加工場、動物飼育室など、VOCや臭気の管理が求められる現場で広く使用されています。扱いやすく、確かな効果が期待できる排ガス処理装置として、多くの現場で選ばれています。

スクラバー導入で排ガスの削減に成功した事例

適切なスクラバーを導入することで、大気汚染の防止や職場環境の改善、地域住民への影響軽減といった多くのメリットが得られます。こちらでは、実際にスクラバーの導入によって排ガス削減に成功した事例をご紹介します。

◇湿式スクラバーの導入事例

ある自動車工場では、塗装乾燥炉から排出されるホルムアルデヒドガスの処理が課題となっていました。自治体の排出規制はクリアしていたものの、さらに厳しい自社基準を設けていたため、生産量の増加に伴い排出目標値ギリギリになることがあり、安定して処理できる方法を模索していました。

そこで、長瀬産業は高効率湿式スクラバーを新たに提案・設置。現場でのデモ試験を経て、ガス吸収効率や循環水の管理方法などを検証し、2ライン分の排ガスを1台の装置で効率的に処理する運用方法を採用しました。

導入後は、ホルムアルデヒドの排出濃度を一桁ppmまで安定して低減することに成功し、目標規制値内への削減効果を実現しています。さらに、ランニングコストも抑えられ、安定した運用が可能となりました。

◇乾式スクラバーの導入事例

株式会社朝日工業社が手がけた事例として、三生医薬株式会社の香料加工工場における脱臭設備の導入があります。三生医薬株式会社は健康食品や医薬品の受託開発製造を行っており、多種多様な香料を使用するため、工場から発生する臭気が近隣への課題となっていました。

この課題に対し、朝日工業社はフィールド試験を実施し、脱臭効率やコスト、メンテナンス性を総合的に評価した上で、最適な脱臭設備を提案しました。

最終的に、蓄熱燃焼式排ガス処理装置（2塔式）を採用し、排気筒の高さを15mにすることで大気拡散効果を高め、さらに騒音対策として遮音壁も設置しました。

導入後は一部の系統で最大97.5％という高い脱臭効率を実現し、近隣住民への影響も大きく低減。見学会を開くなど、地域住民からも高い満足を得る結果となりました。

さらに、今後は排ガス処理装置から発生する排気熱を空調機の再生エネルギーとして有効活用するなど、脱臭にとどまらない環境価値の向上も目指しています。

スクラバーを取り扱っている会社3選

スクラバー導入にあたっては、処理対象となるガスの種類や排気量、設置環境に適した装置を選定することが重要です。

こちらでは、確かな技術力と豊富な実績を持ち、ニーズに応じた最適なスクラバーを提案・提供している企業を3社ご紹介します。

◇サンレー冷熱株式会社

サンレー冷熱株式会社は、住友電工グループの一員として、排ガス処理や脱臭装置、熱風発生装置などの環境機器を専門に開発・製造している企業です。

主に工場やプラントで発生する悪臭やVOC（揮発性有機化合物）、有害ガスの処理、作業環境の改善、近隣住民への配慮、省エネルギー化など、さまざまな環境課題に対応する高効率・省エネルギーシステムを提案しています。

製品ラインナップは多彩で、触媒燃焼式脱臭装置・直接燃焼式脱臭装置・濃縮式脱臭装置・パルスプラズマ脱臭装置といった排ガス処理装置のほか、熱風発生装置や廃液燃焼処理装置も取り扱っています。

これらは印刷工場、電子部品工場、化学・石油化学工場、半導体・食品・医薬品関連工場、塗装工場、研究所など幅広い業種で利用されています。

サポート体制も充実しており、初期計画から設計・生産・保守管理まで一貫したサービスを提供。大阪・東京を拠点に、仙台や名古屋にもサービスマンを配置し、迅速なメンテナンス対応が可能です。定期点検やオーバーホール、緊急時の部品供給、設備のシステム改善提案など、導入後も安心して任せられる体制が整っています。

直接燃焼式脱臭装置

サンレー冷熱株式会社の「直接燃焼式脱臭装置」は、悪臭やVOC（揮発性有機化合物）など、ほとんどの排ガスを高温（700～850℃）で熱分解し、98～99％という高い処理効率を発揮する脱臭装置です。都市ガス、LPG、電気ヒーター、灯油、重油、廃液など多様な熱源に対応し、安定した運転が可能です。

この装置は廃熱回収にも対応しており、省エネルギー化や運転コストの低減にも寄与します。小型から大型まで幅広い処理風量に対応でき、現場ごとに最適な設計が可能です。主な導入先は印刷工場、電子部品工場、化学製品工場、医療・製薬関連工場、フィルム・シール工場、塗装工場、石油化学工場、半導体工場、食品工場、各種研究所など、多岐にわたります。

装置の型式ごとに処理風量や外形寸法のバリエーションがあり、現場のニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。

◇株式会社三貴製作所

株式会社三貴製作所は、東京都練馬区に本社を置く、排ガス処理装置（スクラバー）やドラフトチャンバー、ケミカル排気ファンなどの製造を専門とする企業です。1968年の創業以来、「地球環境にやさしい製品づくり」を理念に掲げ、産業活動で発生する有害ガスの処理を通じて環境問題の解決に貢献してきました。

三貴製作所の特長は、現場の多様なニーズに応じた豊富なラインナップにあります。特に小型スクラバーの開発・製造に強みを持ち、湿式・乾式ともに多くの規格商品を展開。ごく少量の酸やアルカリ、溶剤ガスの処理が必要な現場向けの小型タイプから、大型プラント向けの高性能スクラバーまで、幅広く対応しています。

また、耐熱性や耐蝕性に優れたステンレス製やFRP製の製品も揃えており、高温・高濃度ガスや腐食性ガスの処理にも適しています。スクラバーにはケミカル排気ファンや循環ポンプが付属し、キャスター付きでプラント内での移動も可能な設計です。

◇株式会社島川製作所

株式会社島川製作所は、長年にわたり培ってきた「熱制御技術」「風制御技術」「大気汚染防止技術」「機械設計技術」などの高度な技術力を活かし、単体機器からプラント機器まで、顧客の要望に合わせた最適なシステムを提案・製作している企業です。

特に排ガス処理装置や脱臭装置の分野で豊富な実績を持ち、100台を超える納入事例があります。島川製作所の排ガス処理装置は、揮発性有機化合物（VOC）や酸化エチレンガスなど、さまざまな有害ガスの処理に対応しています。

装置の方式は燃焼法・吸着法・洗浄法・生物脱臭法・プラズマ脱臭法など多岐にわたり、特に「触媒燃焼方式」では、貴金属触媒を用いることで低温（250～300℃）での高効率脱臭を実現。直接燃焼方式と同等の処理効果を持ちながら、小型化やランニングコストの低減も可能です。

さらに、独自開発の処理フローや温度制御技術により、アンモニア排気処理時のNOx発生を抑制するなど、環境負荷低減にも注力しています。装置は熱交換器やセラミック蓄熱体を用いた廃熱回収タイプも選択でき、ユーザーインターフェースにはタッチパネルを採用するなど、操作性や自動運転性にも優れています。

設計から製造、設置、試運転、アフターサービスまで一貫して対応し、自動化や既設装置との連動などカスタマイズにも柔軟に対応できるのが大きな特長です。

まとめ

排ガス処理装置であるスクラバーは、排気ガスに含まれる有害物質を化学反応や物理的な捕集方法で効率的に除去する装置です。これにより、大気汚染の防止や作業環境の改善に貢献します。特に硫黄酸化物や窒素酸化物、揮発性有機化合物などが代表的な処理対象です。スクラバーは多様な産業で活用され、化学工場、金属精錬、食品加工などで使用され、環境保護と産業活動の両立を図ります。

湿式スクラバーは、液体を用いて排ガス中の汚染物質を取り除く装置で、ガスと液体の接触により物質が液体に取り込まれます。特に水溶性の汚染物質に効果的で、硫黄酸化物やアンモニアなどを効率的に除去できます。湿式スクラバーには物理吸収と化学吸収の2つの仕組みがあり、物理吸収では汚染物質が液体に溶解し、化学吸収では薬品がガス中の有害物質と反応して無害な物質に変化します。

乾式スクラバーは固体吸着材を用いて排ガス中の汚染物質を除去します。液体を使わず、軽量でコンパクトなため、設置場所や運用が簡単です。特に臭気や揮発性有機化合物（VOC）の除去に優れています。活性炭やゼオライトなどの吸着材を使用し、それぞれの汚染物質を効果的に捕えます。

湿式スクラバーは水溶性ガスが多い場合に、乾式スクラバーは疎水性ガスや臭気物質が多い場合に適しています。選択は、ガスの性質や施設の要件に応じて行います。どちらの装置も環境への負荷を減らし、経済的な運用を実現するために重要な役割を果たします。