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排ガス処理装置コラム

直接燃焼式排ガス処理装置の特徴とは?設置する際の注意点

公開:2024.08.21 更新:2024.08.21
直接燃焼式排ガス処理装置の特徴とは?設置する際の注意点
引用元:フォトAC

直接燃焼式排ガス処理装置は、高温で有害物質を燃焼し無害化する装置です。排ガス中のVOCや臭気成分を酸化分解し、水や二酸化炭素に変換します。

メリットとして、高い処理効率と簡単な保守が挙げられますが、大量の燃料を必要とし、コストが高い点がデメリットです。導入時には火気管理やメンテナンスが重要で、安全運転には十分な対策が求められます。

直接燃焼式排ガス処理装置の仕組み

直接燃焼式排ガス処理装置は、排ガス中の有害物質を高温で燃焼させ、無害化することを目的としています。

◇原理

原理は、燃焼によって排ガス中の揮発性有機化合物(VOC)や臭気成分を酸化分解し、水や二酸化炭素に変換するというものです。排ガスが燃焼するためには、特定の温度以上に加熱する必要があり、一般的に750℃から850℃程度が目安とされています。

この高温環境下で有害物質が燃焼し、化学反応により無害な成分に変換されます。直接燃焼の際には燃料を使用するため、装置の運転には燃料費がかかりますが、その分、高い脱臭効率を持つことが特徴です。

◇仕組み

排ガスが装置内に取り込まれた後、熱交換器を通過して予熱されます。この予熱は、装置のエネルギー効率を高めるために行われ、燃料の消費量を抑える役割を果たします。予熱された排ガスは、次にバーナーを通過し、高温で燃焼されます。

バーナーの炎により排ガスが発火点以上に加熱され、有害成分が酸化分解されます。燃焼後、ガスは滞留室に導かれ、残留する有害成分がさらに分解されることで、最終的に無害化されたガスが外部へ排出されます。

直接燃焼式排ガス処理装置の特徴

◇処理できるVOC

直接燃焼式排ガス処理装置は、幅広い種類のVOCを処理することが可能です。
例えば、トルエン、キシレン、メタノール、アセトンなどの化合物が含まれ、これらは多くの産業で排出される代表的なVOCです。
この装置は、これらのVOCを650°Cから800°Cの高温で燃焼させ、酸化分解を通じて二酸化炭素や水に変換します。

この工程により、VOCの98%以上が無害な物質に分解されます。さらに、装置はVOCの風量や濃度が変動しても安定した処理効率を維持することができ、工業的な排ガス処理において非常に有効です。

◇メリット

直接燃焼式排ガス処理装置の最大のメリットは、その高い処理効率と信頼性です。特に、燃焼温度が高いことから、VOCを完全に分解できる点が大きな利点です。

また、装置の構造がシンプルであるため、保守管理が容易であり、長期間の使用でも処理効率が低下しないという特徴があります。

◇デメリット

デメリットとしては、高温を維持するために大量の燃料が必要である点が挙げられます。これにより、ランニングコストが高くなることが一般的です。

また、燃焼過程で二酸化炭素や窒素酸化物(NOx)が発生するため、環境への影響にも配慮が必要です。
さらに、装置の設置には広いスペースが必要であり、導入コストも高額になる傾向があります。

直接燃焼式排ガス処理装置を設置する際の注意事項

直接燃焼式排ガス処理装置を導入する際には、いくつかの重要な注意事項があります。これらの注意点をしっかりと理解し、適切に対処することで、装置の安全性を確保し、長期間にわたり安定した運用を維持することが可能です。

◇火気の扱い

直接燃焼式排ガス処理装置は、VOCを高温で燃焼・分解するため、装置内での失火や不適切な着火が大きなリスクを伴います。万が一、運転中に失火が発生した場合、その原因を究明せずに再び着火を試みることは非常に危険です。

滞油や着火性ガスが装置内に充満している可能性があり、この状態での再着火は爆発を引き起こすリスクを高めます。そのため、失火後は必ず原因を特定し、安全が確認されるまで再着火を行わないよう徹底する必要があります。

また、運転を終了する際には、炉内温度が150°C以下になるまでアフターパージを行うことが求められます。装置内に残ったガスを安全に排出し、次回の運転開始時に安全を確保します。

◇メンテナンス

直接燃焼式排ガス処理装置は、高温でVOCを燃焼させる装置であるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。

特に、不完全燃焼が起こると、有害物質が発生する可能性があり、これを防ぐために燃焼状態の監視が必要です。装置の運転中は、燃焼温度が適切な範囲内に維持されているかを確認し、必要に応じて調整を行うことで、不完全燃焼を防ぐことができます。

また、熱交換器や滞留室の清掃・点検も定期的に行い、装置の効率を最大限に発揮させることが重要です。装置の耐用年数を延ばすことができ、長期的な運用コストの削減にもつながります。

◇装置を停止する際の手順

装置を停止する前に、炉内の温度を十分に下げることが必要であり、アフターパージを行うことで装置内のガスを完全に排出することが求められます。次回の運転開始時に装置内の残留ガスが安全に処理されることを確認できます。

装置が十分に冷却されていることを確認し、次回の運転準備が整った状態で停止することが、装置の安全性と効率性を維持するために不可欠です。

直接燃焼式排ガス処理装置を取り扱う企業を紹介

直接燃焼式排ガス処理装置を取り扱う企業をご紹介します。

◇サンレー冷熱(住友電工グループ)

直接燃焼式排ガス処理装置

画像出典:サンレー冷熱

サンレー冷熱は、住友電工グループの一員として、創業以来80年以上にわたって培われた燃焼技術を基盤に、さまざまな環境装置を提供しています。

特に、直接燃焼式脱臭装置(脱臭炉)は、同社の代表的な製品の一つです。揮発性有機化合物(VOC)やその他の悪臭物質を高温で燃焼させることで、完全に分解・除去します。
その過程で、二次公害を発生させないよう、廃水処理や汚泥処理が不要な乾式処理を採用しているのが特徴です。

さらに、サンレー冷熱の脱臭装置は、耐久性と省スペース設計を両立させており、長期間の運転でも安定した性能を維持します。燃焼プロセスで生じた残熱を回収し、廃熱ボイラーやエアヒーターとして再利用することで、燃料費や運転コストの大幅な削減が可能です。

◇カンケンテクノ

直接燃焼装置

画像出典:カンケンテクノ

カンケンテクノは、排ガス処理技術において革新的なソリューションを提供する企業であり、特に直接燃焼装置においては高い技術力を誇ります。

VOCを含むさまざまな有害ガスを高温で直接燃焼させ、迅速かつ完全に分解することで、悪臭や有害成分を除去します。

カンケンテクノの直接燃焼装置は、触媒を使用せず、シンプルな構造でありながら高い処理能力を持ちます。そのため、触媒交換などのメンテナンスコストを削減し、長期的な運用が可能です。

また、カスタマイズ性が高く、顧客の特定のニーズに合わせて、最適な装置を設計・提供できる点も同社の強みです。印刷工場や塗装工場、化学工場など、多岐にわたる産業分野で採用されており、信頼性の高さから幅広い支持を得ています。

◇中外炉工業

低カロリーガス燃焼設備

画像出典:中外炉工業

中外炉工業は、燃焼技術において長い歴史を持ち、その技術を基に様々な大気浄化設備を提供しています。

その中でも、低カロリーガス燃焼設備は、化学プラントから発生する副生ガスの有効利用を目的とした装置として注目されています。一般的な燃料に比べて燃焼カロリーが低いガスを安全かつ効率的に燃焼させる技術を持ち、その過程で生じる廃熱を最大限に回収することが可能です。

低カロリーガスは通常、燃焼が困難であるため、この設備には同軸バーナーを採用し、一般燃料と低カロリーガスを同時に投入することで安定した燃焼を実現しています。
また、燃焼プロセスが低温で行われるため、NOxの排出量を大幅に低減し、環境負荷の軽減に寄与します。


直接燃焼式排ガス処理装置は、排ガス中の有害物質を高温で燃焼させ無害化する装置です。揮発性有機化合物(VOC)や臭気成分を燃焼し、水や二酸化炭素に分解します。装置は熱交換器で排ガスを予熱し、バーナーで高温燃焼させた後、滞留室で残留成分を分解します。

メリットは高い処理効率と信頼性、デメリットは燃料コストの高さや二酸化炭素排出です。導入時には火気管理や定期メンテナンスが必要で、装置の安全な運用が重要です。