ごみ焼却施設等で活躍する消石灰!排ガス処理の仕組みと課題

消石灰は排ガス処理において酸性ガスの中和に使用され、湿式や乾式処理で活用されます。ごみ焼却施設ではHClやSOxの除去に効果的ですが、湿度やコストの課題があります。
目次
消石灰による排ガス処理の仕組み

引用元:photo AC
環境保全において、排ガス処理装置での消石灰の使用は重要な役割を果たします。特に酸性ガスの中和や有害物質の除去に優れた効果を発揮し、持続可能な技術として広く採用されています。
◇消石灰の特性
消石灰(Ca(OH)₂)は、生石灰(CaO)に水を加えて生成される白色の粉末状化合物です。強いアルカリ性を持ち、酸性物質と素早く反応します。この特性を活かし、排ガス中の塩化水素(HCl)や硫黄酸化物(SOx)を中和・除去する薬剤として使用されます。
また、消石灰は高い吸湿性を有し、湿度に影響されやすいという特徴があります。この特性を活かし、湿式や乾式の排ガス処理方式で活用されます。さらに、反応後は無害な塩類(CaCl₂やCaSO₄)として排出され、処理後の環境負荷が低い点も大きな利点です。
◇消石灰を用いた排ガス処理装置の仕組み
消石灰を活用した排ガス処理装置には、乾式処理と半乾式処理の二つの方式があります。これらの装置は、焼却施設などで発生する酸性ガスを効率的に中和し、環境負荷を低減する役割を担っています。
乾式処理では、粉末状の消石灰を排ガスに直接噴霧し、酸性ガスと反応させる方法です。この方式は設備がコンパクトで、シンプルな構造により運用コストが低く抑えられる利点があります。しかし、反応効率は比較的低いため、十分な中和効果を得るには大量の消石灰を使用する必要があり、未反応の消石灰や生成物が増えるため適切な廃棄処理が求められます。
一方、半乾式処理では、消石灰をスラリー状にして噴霧し、酸性成分と効率的に反応させます。この方法は特に硫黄酸化物(SOx)や塩化水素(HCl)の除去性能が高く、乾式処理に比べて消石灰の使用量を抑えつつ高い中和効率を実現します。さらに、湿度の影響を受けにくいため、安定した処理が可能です。
ごみ焼却施設で排出される有毒ガス除去に使用される消石灰

引用元:photo AC
ごみ焼却施設では、燃焼過程で発生する有害ガスを適切に処理するための技術が求められています。これには、消石灰を使用した中和処理が有効です。塩化水素(HCl)や硫黄酸化物(SOx)を除去する仕組みについて詳しく解説します。
◇ごみ焼却施設で使用される消石灰
ごみ焼却施設では、燃焼により塩化水素(HCl)や硫黄酸化物(SOx)などの有害なガスが発生します。これらの物質は大気汚染防止法で排出基準が定められており、環境への影響を最小限に抑えるため、適切な処理が求められます。
特に、HClとSOxは酸性ガスであり、排ガス処理の過程で中和・除去することが不可欠です。このため、多くの施設では消石灰(Ca(OH)₂)が使用されています。消石灰は強いアルカリ性を持ち、酸性ガスと反応することで効果的に中和できます。
◇消石灰で排出ガスの無害化を実現する仕組み
焼却過程で発生する塩化水素(HCl)や硫黄酸化物(SOx)などの酸性ガスは大気汚染を引き起こすため、これらを無害化するために消石灰が利用されます。HClは、塩化ビニル系プラスチックや漂白剤を含む紙類、また食塩を含む生ごみが燃焼する際に発生します。
これらが高温で反応すると、さらに無機塩化物が生成されることもあります。SOxは、紙類やたんぱく質系の生ごみ、加硫ゴムなどに含まれる硫黄分が燃焼することで発生し、そのほとんどはSO₂です。
これらを除去するためには、乾式処理、半乾式処理、湿式処理の三つの方法が採用されています。
乾式処理は、微粉末状の消石灰を排ガスに直接噴霧して中和する方法で、設備がシンプルで廃水も発生しませんが、消石灰の使用量が多くなる点が課題です。半乾式処理では、消石灰をスラリー状にして噴霧することで、効率的に反応させ、消石灰の使用量を抑えながらHClやSOxを同時に除去できます。
特にHClの除去率は90~98%と高く、広く利用されています。湿式処理では、水酸化ナトリウムや炭酸カルシウムの水溶液を使い、高い除去効率を発揮しますが、排水処理が必要なため、大規模な施設で多く導入されています。
消石灰の課題と最新技術

引用元:photo AC
ごみ焼却施設では、消石灰を用いた排ガス処理が一般的ですが、運用にはいくつかの課題が指摘されています。
◇消石灰の課題
消石灰を使用した排ガス処理には、湿度による除去効率の低下、コスト増加、廃棄物の増加などの課題があります。湿度が高いと消石灰が凝集し、酸性ガスとの反応効率が低下します。これを改善するためには湿度調整が必要です。
さらに、排ガス量が多い施設では消石灰の使用量が増加し、コストが高くなります。また、乾式法では未反応の消石灰がダストとして発生し、埋立地の負担が増す問題があります。
◇最新技術による課題解決
「高反応性消石灰」の導入が課題解決に貢献しています。従来の消石灰よりも反応効率が高く、少量で酸性ガスを効果的に除去できます。これにより、消石灰の使用量を削減し、コスト削減が実現しました。
特に、HCl除去率が高く、約半分の量で同等の除去性能を発揮できます。また、高反応性消石灰は、飛灰中の鉛溶出リスクを抑える効果もあり、環境への負荷を減らすことができます。
排ガス処理装置のおすすめメーカー
排ガス処理に用いられる消石灰の効果を最大限に引き出すには、適切な処理装置が不可欠です。
ここでは、高性能な排ガス処理装置を提供するメーカーとして3社を紹介し、それぞれの特徴と強みについて解説します。
◇サンレー冷熱株式会社

サンレー冷熱株式会社は、住友電工グループの一員として80年以上の歴史を持つ排ガス処理装置メーカーです。
特に、VOC(揮発性有機化合物)処理や悪臭除去に関する技術に強みがあり、環境負荷を低減しながら高い処理効率を実現する脱臭装置を提供しています。
さらに、触媒燃焼式、直接燃焼式、濃縮式脱臭装置といった多様な技術を組み合わせることで、省エネルギーかつ高効率なシステムを提案しています。
会社名 | サンレー冷熱株式会社 |
所在地 | 〒573-1132 大阪府枚方市招提田近3-25 |
電話番号 | 072-856-3221 |
公式ホームページ | https://www.sunray-r.co.jp/ |
また、同社のバーナー燃焼技術を応用した熱風発生装置や、廃液燃焼処理装置も注目されています。
これらの技術は、排ガス処理と同時にエネルギーを有効活用できるため、コスト削減にも貢献します。
サンレー冷熱株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
▼サンレー冷熱は充実したメンテナンス体制とアフターサービスを提供
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇東邦化工建設株式会社

引用元:東邦化工建設株式会社
東邦化工建設株式会社は、帝人グループのエンジニアリング会社として、工場設備や機器の設計・施工、溶剤回収装置の製造、環境測定や分析を手掛ける企業です。
特に、プラント事業において排ガス処理や排水処理を含む環境関連設備の設計・施工を行い、クリーンな生産環境の実現に貢献しています。
同社は、吸着式、冷却凝集式、燃焼方式といった多様な排ガス処理技術を提供し、顧客のニーズに応じた最適なソリューションを提案しています。
会社名 | 東邦化工建設株式会社 |
所在地 | 〒411-8720 静岡県駿東郡長泉町上土狩234番地 |
電話番号 | 055-987-1087 |
公式ホームページ | https://www.t-cec.co.jp/ |
また、溶剤回収装置を活用した環境負荷低減とコスト削減の両立も可能であり、排ガス処理と資源循環を組み合わせた持続可能なシステムを構築できるのが強みです。
さらに、高度な分析技術を活かし、排ガスの成分測定や環境影響評価を行うことで、より効果的な処理装置の導入をサポートしています。
排ガス処理装置について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
◇OKIエンジニアリング

引用元:OKIエンジニアリング
OKIエンジニアリングは、半導体製造や液晶ディスプレイ製造、太陽電池製造における排ガス処理技術に特化した企業です。
特に、湿式排ガス処理装置を中心としたシステムの設計・設置・保守を提供し、有害物質の確実な除去を実現しています。
また、燃焼式除害装置との組み合わせにより、温室効果ガス削減や安全性向上にも貢献しています。
会社名 | OKIエンジニアリング |
所在地 | 〒179-0084 東京都練馬区氷川台3-20-16 |
電話番号 | 03-5920-2300 |
公式ホームページ | https://www.oeg.co.jp/ |
同社の強みは、半導体や電子部品業界での長年の経験を活かし、特殊材料ガス除去を含む高度な環境システム技術を提供できる点です。
特に、PFC類などの温暖化係数の高いガスを無害化する技術は、脱炭素社会の実現に向けた重要なソリューションとして注目されています。
排ガス処理装置について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
消石灰は、排ガス処理において重要な役割を果たし、特に酸性ガスの中和や有害物質の除去に優れた効果を発揮します。消石灰(Ca(OH)₂)は強いアルカリ性を持ち、酸性物質と反応して中和します。湿度に影響されやすいため、湿式および乾式処理方式で活用され、処理後は無害な塩類(CaCl₂やCaSO₄)として排出され、環境への負荷が少ない特徴があります。
排ガス処理装置には乾式、半乾式、湿式の三つの方式があります。乾式処理では粉末状の消石灰を排ガスに直接噴霧し、中和しますが、効率が低いため大量の消石灰が必要です。半乾式処理はスラリー状の消石灰を使用し、効率的に酸性ガスを除去できます。湿式処理は高い除去効率を誇りますが、大規模施設向けで排水処理が必要です。
ごみ焼却施設では、燃焼過程で発生する塩化水素(HCl)や硫黄酸化物(SOx)を消石灰で中和し、これらの酸性ガスを除去します。乾式、半乾式、湿式処理が広く採用され、特にHClの除去率は高いとされています。
消石灰を使用する際の課題としては、湿度による除去効率低下、コスト増、廃棄物の増加があります。これを解決するために、高反応性消石灰が導入され、反応効率を高め、消石灰の使用量を削減しています。