排ガス中のVOC処理~触媒酸化・燃焼方式の特徴と利点

VOC(揮発性有機化合物)は環境や健康に悪影響を与えるため、排ガス処理が重要です。触媒酸化・燃焼方式は、低温でVOCを無害化し、省エネルギーでランニングコスト削減に貢献します。企業には、VOC回収や再利用技術を提供する装置が多くあります。
目次
排ガス中のVOCとその影響

引用元:photo AC
VOC(揮発性有機化合物)は、塗料や接着剤に含まれ、大気中に拡散しやすく、環境や人体に悪影響を与えます。産業活動における排出規制が厳しく、適切な管理が求められています。
◇VOCとは
VOC(揮発性有機化合物)は、常温・常圧で気体や蒸気になりやすい有機化合物の総称です。代表的なVOCにはトルエン、キシレン、酢酸エチル、ベンゼン、ホルムアルデヒドなどがあり、これらは塗料、接着剤、印刷インキ、ガソリンなどに含まれています。これらの化合物は揮発性が高く、使用時や製造過程で大気中に拡散しやすい特性を持っています。
特に工場の排ガスとして排出されるVOCは、産業活動と密接に関連しています。塗装工程や印刷工程、化学製品の製造過程では大量のVOCが発生し、適切に管理しないと環境や人体に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、多くの国や地域ではVOCの排出規制が厳しくなっており、企業には適切な排ガス処理装置の導入が求められています。
◇排ガス中のVOCが及ぼす環境影響
排ガス中のVOCは、環境と健康の両面で深刻な影響を与えます。VOCが大気中に放出されると、窒素酸化物(NOx)と反応して光化学オキシダントを生成し、これが光化学スモッグの原因となります。光化学スモッグは、視界の低下や植物の生育阻害を引き起こすだけでなく、人間の目や喉に刺激を与え、呼吸器系の疾患を悪化させる可能性があります。
さらに、VOCはPM2.5(微小粒子状物質)の発生源の一つでもあります。PM2.5は直径2.5μm以下の微細な粒子で、肺の奥深くまで入り込みやすいため、長期的な吸入は呼吸器系や循環器系に悪影響を及ぼすとされています。特に慢性気管支炎や肺がんのリスクを高めることが指摘されており、WHO(世界保健機関)もPM2.5の排出削減を推奨しています。
排ガス処理装置における触媒酸化・燃焼方式

引用元:photo AC
触媒酸化・燃焼方式は、低温でVOCを無害な二酸化炭素と水に分解し、エネルギー消費を抑えつつ環境負荷を低減します。貴金属触媒を使用し、廃水を発生させないのも特徴です。
◇触媒酸化・燃焼方式の特徴
触媒酸化・燃焼方式は、VOCを200~400℃の低温で酸化分解し、無害な二酸化炭素と水に変換する技術です。従来の高温燃焼方式(650~800℃)と比較し、エネルギー消費が少なく、窒素酸化物(NOx)などの副生成物の発生を抑えることができます。触媒を利用することで、分解温度を低く保ちながら、効率的にVOCを処理できます。
この方式では、白金やパラジウムなどの貴金属触媒が使用され、酸化反応を促進します。装置は、予熱器、昇温装置、触媒層から構成されており、排ガスを効率よく処理します。乾式処理で廃水の発生がない点も、この方式の大きなメリットです。
◇触媒酸化・燃焼方式で対応可能なVOC
触媒酸化・燃焼方式は、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)など、さまざまなVOC成分を効率的に分解することができます。これらは塗装工程や印刷、接着剤の使用時に排出されることが多く、この技術によってVOCを効果的に除去できます。また、VOC以外にも一部の悪臭成分も処理可能です。
ただし、硫黄化合物(メルカプタン、硫化水素)や塩素化合物が含まれる場合、触媒の劣化を引き起こす恐れがあります。これに対処するため、前処理フィルターや定期的なメンテナンスが必要です。触媒を長期間使用するためには、管理と保守が重要です。
◇触媒酸化・燃焼方式の仕組み
触媒酸化・燃焼方式のプロセスは、予熱、酸化分解、排気の3つの段階で構成されます。最初に、排ガスは廃熱回収装置を通して予熱され、その後、昇温装置(バーナーや電気ヒーター)で200~400℃に加熱されます。この温度で触媒層に送られ、VOCが酸化されて無害な二酸化炭素と水に分解されます。
最後に、処理されたガスは排気口から外部に放出されます。このプロセスでは、VOCの分解効率が95~99%となり、環境負荷を大幅に低減できます。さらに、排ガスの濃度が高い場合、自燃が可能になり、燃料追加なしでランニングコストの削減が可能です。
触媒酸化・燃焼方式を採用する利点

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触媒酸化・燃焼方式は、低温でVOCを分解し、燃料使用量を削減するため、ランニングコストの低減に貢献します。VOCの濃度によっては自燃が可能となり、外部燃料が不要となる場合もあります。また、廃熱回収装置を併用することで、エネルギー効率がさらに向上します。
◇省エネルギー性とランニングコストの低減
触媒酸化・燃焼方式は、一般的な燃焼方式より低い温度(200~400℃)でVOCを分解できるため、エネルギー消費を抑えることができます。通常の直接燃焼方式では650~800℃の高温が必要ですが、触媒を使用することで、燃料の使用量を大幅に削減でき、ランニングコストの低減が実現します。
VOCの濃度が高い場合(例:トルエン濃度800mg/Nm³以上)、排ガスが自燃し、外部からの燃料供給が不要になります。これにより、運用コストを削減できます。また、廃熱回収装置を併用することで、排ガスの熱エネルギーを再利用し、工場のエネルギー効率をさらに向上させることが可能です。
◇コンパクトな装置設計と環境負荷の軽減
触媒酸化・燃焼方式の装置は、従来の直接燃焼方式と比べてコンパクトに設計できます。酸化分解の温度が低いため、装置の構成がシンプルで、設置スペースを抑えることができます。この特徴は、小型から中規模の工場において特に重要で、省スペース化が導入の大きな要因となります。
触媒を使用することで完全燃焼が促進され、NOx(窒素酸化物)やCO(一酸化炭素)の排出量を抑えることができます。これにより、大気汚染の原因となる有害物質の排出が減少し、環境負荷の軽減に貢献します。さらに、乾式処理によって廃水が発生しないことも環境面での大きな利点です。
排ガス処理装置のおすすめメーカー
排ガス中の揮発性有機化合物(VOC)の処理には、高度な技術と環境への配慮が求められます。
多くのメーカーが独自の技術を活用して、効率的な排ガス処理装置を開発しています。
◇サンレー冷熱株式会社

サンレー冷熱株式会社は、住友電工グループの一員として、80年以上にわたり燃焼技術を発展させてきた企業です。
排ガス処理装置の開発においても、触媒燃焼式脱臭装置をはじめとする多様なシステムを提供し、省エネルギー性と高効率性を両立させています。
特に、触媒を活用した低温燃焼技術により、VOCを効率的に分解し、ランニングコストの削減にも貢献します。
会社名 | サンレー冷熱株式会社 |
所在地 | 〒573-1132 大阪府枚方市招提田近3-25 |
電話番号 | 072-856-3221 |
公式ホームページ | https://www.sunray-r.co.jp/ |
また、同社の装置は、印刷工場や塗装工場、電子部品関連工場など幅広い業界で導入されています。
コンパクトな設計が可能で、スペースの限られた施設にも適用できる点も強みです。
サンレー冷熱株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
▼サンレー冷熱は充実したメンテナンス体制とアフターサービスを提供
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇ミウラ化学装置株式会社

引用元:ミウラ化学装置株式会社
ミウラ化学装置株式会社は、「排ガス処理のエキスパート」として40年以上の実績を持つ企業で、VOCガス処理・回収装置の開発に注力しています。
代表的な製品である「オキシタック」は、触媒酸化方式を採用し、200~400℃という低温でVOCを分解できるため、燃料費の大幅な削減が可能です。
さらに、サーマルNOxの発生を抑えることで、環境負荷を軽減するという特長もあります。
会社名 | ミウラ化学装置株式会社 |
所在地 | 〒587-0042 大阪府堺市美原区木材通2-2-1 |
電話番号 | 072-362-8020 |
公式ホームページ | https://www.miura-eco.co.jp/ |
同社のもう一つの技術「ハニータック」は、ゼオライトや活性炭をハニカム状に成形したローターを用いることで、VOCを効率的に吸着・脱着し、濃縮するシステムです。
これにより、後処理装置の負荷を減らし、全体のエネルギー効率を向上させます。
ミウラ化学装置株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇株式会社クレハ環境

引用元:株式会社クレハ環境
株式会社クレハ環境は、VOCの回収・リサイクル技術に強みを持つ企業であり、脱炭素社会に貢献する排ガス処理システム「GASTAK」を開発しています。
このシステムは、排ガス中のVOCを回収し、再利用することで、CO2排出量を大幅に削減することが可能です。
特に、トルエンや酢酸エチルなどの溶剤を再生し、再び生産工程に利用することで、コスト削減と資源の有効活用を実現します。
会社名 | 株式会社クレハ環境 |
所在地 | 〒974-8232 福島県いわき市錦町四反田30番地 |
電話番号 | 0246-631-231 |
公式ホームページ | https://www.kurekan.co.jp/ |
GASTAKは、球状活性炭を用いた流動吸着方式を採用しており、高い処理効率を持ちながらも、設備の小型化が可能です。
また、脱着用のガスとして窒素や水蒸気を活用することで、排水の発生を最小限に抑え、環境への負荷を低減します。
株式会社クレハ環境について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
VOC(揮発性有機化合物)は塗料や接着剤に含まれ、大気中に拡散して環境や人体に悪影響を与えます。これらは、塗装や印刷などの産業活動で発生し、適切に管理されなければ、大気汚染や呼吸器疾患の原因となります。特に、光化学スモッグやPM2.5の生成に関与し、健康リスクを引き起こすため、排ガス処理が求められています。
触媒酸化・燃焼方式は、VOCを200~400℃の低温で酸化分解し、二酸化炭素と水に無害化する技術で、エネルギー消費を抑えつつ環境負荷を低減します。この方式は、貴金属触媒を使用し、廃水の発生を抑える特徴もあります。また、ランニングコストを削減できることから、企業にとって経済的なメリットもあります。
触媒酸化・燃焼方式は、VOCを効率的に処理でき、トルエンやキシレン、メチルエチルケトン(MEK)などの成分を分解します。しかし、硫黄化合物や塩素化合物が含まれる場合、触媒の劣化が進むため、前処理が必要です。装置は、予熱、昇温、酸化分解の3段階を経て処理を行います。
この技術のメリットとして、省エネルギー性や自燃による外部燃料不要、廃熱回収装置との併用によるエネルギー効率向上が挙げられます。さらに、装置の設計がコンパクトで、環境負荷を軽減し、NOxやCOの排出も抑えられます。