硫化水素の危険性は?発生条件と対応可能な排ガス処理装置の紹介

硫化水素は無色で腐卵臭のする有毒ガスで、私たちの身近な環境でも発生する可能性があります。その強い毒性と腐食性から、人体や設備に深刻な影響を及ぼす危険性があります。こちらでは、硫化水素の危険性と発生条件を詳しく解説するとともに、この有害ガスに対応可能な最新の排ガス処理装置をご紹介します。
目次
硫化水素の性質と発生条件

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日常生活であまり耳にすることのない「硫化水素」。その名前を聞いたことがある人も少ないかもしれませんが、実は私たちの周りで発生することがあり、その性質や危険性について知っておくことが大切です。
硫化水素は一体どのような物質で、どんな特徴を持っているのでしょうか?ここでは、この硫化水素について詳しく解説します。
◇硫化水素とは
硫化水素は、硫黄と水素からなる無機化合物で、腐った卵のような特徴的な臭いを持つ物質です。常温・常圧下では無色の気体として存在します。この硫化水素は、石油化学工業の脱硫設備や半導体の洗浄水処理施設、下水処理場、各種排水処理施設、産業廃棄物処分場などで発生しやすく、空気より重く、濃度が上がりやすい性質を持っています。
また、無色であるため、発生しても気づきにくいという特徴があります。硫化水素は特殊な環境だけでなく、比較的一般的な条件でも発生する可能性があるため、注意が必要です。特に、硫酸塩がある場所や酸素供給が不十分な環境では、硫化水素が発生しやすくなります。
実際に、温泉旅館で入浴客が硫化水素中毒の症状で重体になった事故がありました。厚生労働省のサイトでは、硫化水素が原因で発生した労働災害の事例も多く報告されています。
◇硫化水素の発生個所と条件
硫化水素の発生の主な要因のひとつは、硫酸塩還元菌による嫌気性発酵です。酸素が不足し、硫酸塩が存在する環境では、硫酸塩還元菌が有機物を分解します。この分解によって、硫酸塩は硫化物イオンに還元され、その結果として硫化水素が生成されます。
特に重要なのは、硫酸塩還元菌が自然界に広く存在していることです。これにより、硫酸塩がある場所で酸素供給が不十分であれば、人工的な環境でなくても硫化水素が発生することが珍しくないという点です。
例えば、自然の沼地や水たまりなどでも、これらの条件が整えば硫化水素が発生する可能性があります。また、温泉地などで卵が腐ったような臭いを感じた経験がある方もいるかもしれませんが、この臭いも硫化水素が原因です。
実際、硫化水素はその特徴的な腐卵臭で知られていますが、硫黄自体は無臭であることを覚えておくことが重要です。つまり、「硫黄臭い」と感じる臭いは、実際には硫化水素の臭いなのですこのため、硫化水素は悪臭防止法において特定悪臭物質として定められており、発生源や濃度によっては環境問題として取り扱われることもあります。
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硫化水素の危険性と対策

硫化水素は、その独特な臭いだけでなく、気体としての性質からも非常に危険です。では、具体的にどのような危険性があり、どのように対策すべきなのでしょうか?ここでは、硫化水素の危険性とその対策について詳しく解説します。
◇硫化水素の危険性
硫化水素の危険性には、人体への影響と電子機器への影響が挙げられます。硫化水素は卵が腐ったような独特の臭いを持っていますが、一定の濃度を超えると臭いを感じなくなる特性があります。
これは、臭いが消えるのではなく、嗅覚が麻痺してしまうためです。濃度が0.03ppm程度ではかすかに臭いを感じますが、濃度が上がるにつれて不快な臭いが増し、20~30ppm程度になると臭いを感じなくなります。
この段階で鼻粘膜に乾燥感や痛みを感じ、場合によっては咳が出ることもあります。さらに濃度が700ppm以上になると、意識障害や呼吸麻痺を引き起こし、最悪の場合は命に関わることがあります。
また、硫化水素は人体だけでなく、電子機器にも深刻な影響を及ぼします。硫化水素は金属を腐食させるため、低濃度でも電子機器の部品や基板に損傷を与える可能性があります。特に、電子基板に使われる銅は硫化水素に弱く、不具合を引き起こす原因となります。電子機器に悪影響を及ぼす濃度は0.003ppmからとされており、これは人間が臭いを感じ始める濃度よりもさらに低いため、注意が必要です。
◇硫化水素の対策
硫化水素は非常に危険なガスであるため、発生した場合の適切な対策が欠かせません。対策は段階を踏んで実施することが重要です。まず最初に、硫化水素がどこから、そしてどのような原因で発生したのかを徹底的に突き止めることが最も重要です。
発生場所や原因が特定できたら、周囲にある機器や設備など、保護が必要なものを隔離する措置を取ります。この際、硫化水素が発生している場所を密閉することで、ガスが周囲に漏れ出すのを防ぐことができます。
密閉や隔離は非常に重要であり、漏れた場合には周囲の人々や環境に大きな影響を与える可能性があるため、慎重に行わなければなりません。さらに、ガスの発生を防ぐための対策として、発生源の密閉だけでなく、新たにガスが発生しないようにする措置も重要です。
例えば、硫酸塩還元菌の活動を抑えるために酸素を供給する、または適切な化学処理を行うことが考えられます。これにより、新たな硫化水素の発生を防ぐことができます。既に流れ出てしまった硫化水素については、専用の機器を使用して処理します。
例えば、フィルターで濾過する循環型脱硫装置などが効果的です。これらの装置は、硫化水素を安全に除去するために設計されており、濾過を通じて大気中の有害なガスを取り除くことができます。専用機器を使うことで、硫化水素を適切に処理し、安全な環境を保つことが可能です。
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硫化水素に対応する排ガス処理装置

画像出典:サンレー冷熱株式会社
硫化水素を適切に処理するためには、専用の装置を使用することが不可欠です。硫化水素は非常に危険なガスであるため、一般的な装置では対応できず、特別に設計された設備を使用して処理する必要があります。
今回は、その中でも特に効果的な3つの装置を取り上げ、それぞれの特徴と使用方法をご紹介します。
◇パルスプラズマ脱臭装置(サンレー冷熱株式会社)
この装置は、低濃度で大風量の環境にも対応し、複合的な臭気の除去が可能な脱臭装置です。大きな特徴として、高い効率性が挙げられます。酸化ラジカルとの酸化反応を利用して臭気を除去し、プラズマと吸着触媒の相乗効果により、その効率が向上しています。
また、吸着触媒の使用量が少なく、長寿命であるため、コストパフォーマンスにも優れています。交換費用も安価で、さらにパルス放電技術を採用しているため、放電電力が少なく、電気代も抑えられる点が経済的なメリットとなっています。
さらに、操作は非常に簡単で、スイッチのON/OFFで瞬時に運転や停止が可能です。化石燃料や薬品を使用しないため、排煙や廃液が発生せず、環境に配慮した設計となっています。主に、食品・医薬品・肥料製造工場やゴミ・排水処理プラントなどで臭気処理に使用され、適切な場所で高い効果を発揮します。
◇直接燃焼式脱臭装置(サンレー冷熱株式会社)
この装置は、揮発性有機化合物(VOC)や悪臭物質の処理に最適で、高い効率性と環境負荷の低さが特徴です。あらゆる悪臭物質を完全分解できるうえ、完全燃焼と乾式処理を採用しているため、廃水処理や汚泥処理といった二次公害対策が不要です。
さらに、省スペース設計でありながら耐熱性と機械的強度に優れ、自動制御運転により維持管理が容易で、故障のリスクも低減されています。また、排ガスの残存熱エネルギーを回収し、廃熱ボイラーやエアヒーターと組み合わせることで燃料費や運転コストを大幅に削減できます。
開発メーカーはバーナー技術に精通しており、安全性を確保するための保安機器や自動運転方式を最適に選定しています。主な用途は、半導体・電子・石油化学・印刷・塗料・食品・化学プラントのほか、し尿処理や汚泥処理施設における各種ガスの処理です。
◇DZRシリーズ(株式会社エア・ガシズ・テクノス)
この装置は、排ガス中に含まれる有機性の悪臭成分を高温で燃焼させることで効果的に脱臭するシステムです。特定のガス成分に限定されることなく、幅広い種類の排ガス処理に対応できるのが大きな特長です。
燃焼炉内は600~800℃に維持されており、この高温環境のもとで排ガスを効率よく混合し、十分な滞留時間を確保することで優れた脱臭効果を発揮します。また、有機溶剤成分は燃焼によって水蒸気と二酸化炭素に分解されるため、悪臭の原因となる物質を完全に除去できます。
このプロセスにより、処理後の排ガスには有害な副生成物がほとんど含まれず、二次公害の発生を防ぐことが可能です。さらに、処理後の高温排気は熱交換器を通じて回収され、プロセスの熱源として再利用できるため、エネルギー効率の向上にも寄与します。
加えて、この装置には各種安全装置が搭載されており、自動運転制御が可能なため、運転時の人員負担を大幅に軽減できる点も特長のひとつです。
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◇サンレー冷熱株式会社

サンレー冷熱株式会社は、長年にわたり培ってきた技術とノウハウを活かし、環境保全や産業の効率化に貢献する多様な製品を提供しています。主力製品には、バーナー燃焼装置や廃液・排ガス処理装置、脱臭装置などがあり、これらはさまざまな産業の環境対策に役立てられています。
会社名 | サンレー冷熱株式会社 |
所在地 | 〒573-1132 大阪府枚方市招提田近3-25 |
電話番号 | 072-856-3221 |
公式ホームページ | https://www.sunray-r.co.jp/ |
同社は単なる環境装置の開発にとどまらず、製造現場の省人化・無人化を支援する自動組立装置などの産業設備も手がけることで、企業の生産性向上や人手不足の解消に貢献すると共に、安全で快適な作業環境の構築をサポートしています。
サンレー冷熱株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
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さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇カンケンテクノ株式会社

カンケンテクノ株式会社は、排ガスや有害物質の除去に関する幅広い技術を持つ企業です。特に、スクラバーや熱酸化技術を用いた除害装置の開発・製造に力を入れており、さまざまな産業分野において高い評価を受けています。スクラバーは、化学薬品や水を利用して排ガス中の有害物質を効率的に除去する装置であり、化学プラントや半導体工場などでの使用に適しています。
会社名 | カンケンテクノ株式会社 |
所在地 | 〒617-0833 京都府長岡京市神足太田30-2 |
電話番号 | 075-955-8823 |
公式ホームページ | https://www.kanken-techno.co.jp/ |
また、熱酸化技術に関しては、環境負荷を軽減する電気式を採用しており、二酸化炭素排出量の削減やエネルギー効率の向上を実現しています。
カンケンテクノ株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
◇中外炉工業株式会社

中外炉工業株式会社は、1945年の創業以来、サーモテック(熱技術)分野において数々の独創的な技術を生み出してきた老舗メーカーです。同社の強みは、優れた開発力と設計力にあり、顧客のニーズに応じた高性能な設備の設計・製造を行うだけでなく、環境負荷の低減を意識した技術革新にも積極的に取り組んでいます。
会社名 | 中外炉工業株式会社 |
所在地 | 〒541-0046 大阪府大阪市中央区平野町3-6-1 |
電話番号 | 06-6221-1251 |
公式ホームページ | https://chugai.co.jp/ |
特に近年では、脱炭素社会の実現を目指し、カーボンニュートラルを軸とした新市場の創出に注力。既存製品のさらなるブラッシュアップを行い、環境に配慮した製品開発を推進しています。
中外炉工業株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
硫化水素は硫黄と水素からなる無色の気体で、腐った卵のような臭いが特徴です。空気より重く、下水処理場・産業廃棄物処分場・温泉地など、硫酸塩が存在し酸素が不足する環境で発生します。この発生メカニズムは、硫酸塩還元菌による有機物の嫌気性分解によって硫化物イオンが生成され、硫化水素に変化するためです。
人体への影響は濃度に依存しますが嗅覚の麻痺や、700ppm以上では意識喪失や呼吸停止の危険があります。対策では、発生源の特定と密閉が最優先です。酸素供給や化学処理で二次発生を防止し、既存ガスには循環型脱硫装置を使用します。
排ガス処理装置として、サンレー冷熱の「パルスプラズマ脱臭装置」(低コスト・高効率)や「直接燃焼式装置」、株式会社エア・ガス・テクノスの高温燃焼装置(600-800℃)が効果的です。